なぜ陸上は面白いのか
今日はちょっと視点を変えて陸上競技の面白さについて書こうと思います。
以前知人に聞かれたことがあるんですよ。「陸上のどこに魅力を感じるのか」と。その時は「人間が限界を追求する姿勢がなんたらかんたら」みたいなことを答えたと思うんですけど正直これじゃ全然伝わらないっすよねw。
確かにこれも陸上の魅力の一つではあります。今回のウサインボルトの世界新なんてまさにそう。人間はどこまでいけるのかという純然たる興味があるからこそ驚異的な世界新記録に人々は興奮する。
競技は違いますが水泳のマイケルフェルプスなんかもそうですよね。想像を越えた走りや泳ぎを観るのはただそれだけで面白いです。
ただ長年陸上に限らず様々なスポーツを観続けた上でこれだけが全てじゃないなって思ったんです。じゃあ他にどのような面白みがあるのか。それはドラマがあるからだと思うんですね。
一人一人の選手がそれぞれのドラマを持っており、また過去の大会で形成されてきたドラマもある。そのような様々なドラマが一つの大会で重なり合って新たなドラマを作り上げるから面白い。
男子砲丸投げと女子800m
そしてこのような観点からスポーツを観るとマイナーな競技でも楽しめる。例として今回の世界陸上の中で世間的には比較的マイナーな種目である男子砲丸投げと女子800mを挙げてみましょうか。
男子砲丸投げは07年大阪世界陸上でアダムネルソン対リースホッファーというアメリカ同士の熾烈な一騎討ちがあった。
08年北京五輪ではマイエフスキ対クリスチャンカントウェルという対決があってマイエフスキが砲丸王国アメリカの牙城を突き崩して優勝した。
そして今大会は過去の大阪や北京でドラマを形成したアダムネルソン、リースホッファー、カントウェル、マイエフスキらが一同に会してまた新たなドラマを形成するのです。
過去実績を残してきたネルソン、ホッファー、カントウェルらのアメリカ勢が王座を奪い返しに北京王者のマイエフスキに挑むというなんとも痺れるドラマではないですか。
女子800mでは一昔前まではマリアムトラという無敵の女王がいました。しかしムトラが衰えてからは05年ヘルシンキでカラタイルドが優勝、07年大阪でジェプコスゲイが優勝、08年北京ではパメラジェリモが優勝と毎大会違った新星が現れてきました。
そしてこの3大会で銀銀銅といずれも惜しいところで敗れ去ったベンハシがいて、メダルを期待されつつも毎回惜しいところで取れなかったロシア勢のクリュカやサビノワがいて…。そんな彼女等が今大会一同に会して新たな戦いを繰り広げるわけですよ。
結果はベンハシ、ジェリモが準決勝敗退という中でまたまた新星のキャスターセメーニャが金メダル。
これで近年の主要な大会の優勝者はムトラ、カラタイルド、ジェプコスゲイ、ジェリモ、セメーニャと毎回異なるという結果に。同じ人が二度勝てない、というジンクスができた今は再来年がまた楽しみになってきましたよ。
とこのように観れば観るほどどんどん面白さが増していくわけですね。昔のドラマを目撃しているからこそ今のドラマがさらに面白くなる。
じゃあ昔から観てない人は楽しめないのかって言われるかもしれないけど別にそんなことはなくてwそういう人でも楽しめるようにテレビ局はちゃんと競技の見所なんかをまとめてくれるわけです。だから番宣なんかも意外と侮れない。
最初はわかりやすいところから入ればいい
最初はボルトみたいな目立つところから入っていいと思います。そこからボルトと競うショーンクロフォードとかウォーレススピアーモンとかの走りにもちょっとだけ気にしてみる。
そして二年後クロフォードとかが出てるのを観て「あれっこいつら二年前も出てた気がするな」みたいに感じてみる。そうなるとついでに観た他の競技でも「そういやこの人も前観たことあるな」って感じるようになる。
そういうことを繰り返していくうちに自然と詳しくなっていくしどんどん競技観戦が楽しくなっていくと思いますよ。
さてそういうわけで今日は男子200の決勝。ボルトは果たして世界新を出せるのか。コーナーが普通よりきついらしいのでちょっと難しいんじゃないかと思いますがボルトの100mのタイムを二倍すると19,16。
ボルトが持つ世界記録の19.30を大きく上回っているんですね。普通は200のタイムというのは100を二倍したタイムよりも速いのでそれを考えると十分期待していいんじゃないかと思います。楽しみにしていましょう。
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