世界陸上の思い出その1
世界陸上ベルリン大会が閉幕した今、良い機会なので過去の世界陸上の思い出なんかを書いてみようと思います。
私が世界陸上を初めて観たのは97年のアテネ大会。奇遇にも織田さん、中井さんが初キャスターをやった大会です。
この大会は新ヒーローが誕生した大会でしたね。特に男女の100m。
男子100では前年のアトランタで金メダルを取りカールルイスの持つ9,86の世界記録を更新する9,84の世界記録(当時)を持つドノバンベイリーが優勝候補でフランクフレデリクス、アトボルトン、モーリスグリーンを加えた四強対決が注目されていました。
そして優勝したのが一番若かったモーリスグリーン!このモーリスグリーンがその後9,79を出して世界記録を塗り替え世界大会四連覇を達成した事は記憶に新しいところでしょう。
女子では38歳のベテラン、マリーンオッティ対新星マリオンジョーンズの対決と言われていました。この二人は順当に決勝まで進みます。
しかしこの決勝でオッティに悲劇が待っていました。決勝で一人がフライング。しかしオッティだけはそのフライングに気付かずに60mくらい全力疾走してしまったんです。
決勝レース前に全力疾走をしてしまったオッティにはもう勝ち目は無く最下位に沈みマリオンが勝ちました。
99年セビリア大会
しかし次の99年セビリア大会ではマリオンに悲劇が待っていました。この大会前マリオンは砲丸投げのCJハンターと結婚。マリオンが4つの競技に、CJハンターが1つの競技に参加するため夫婦で五冠なるかと注目されていました。
100ではマリオンが大方の予想通り金メダル。砲丸投げでも三番手くらいと見られていたハンターがジョンゴディナなどの優勝候補を押しのけて金メダルを獲得。ここまでは順調でした。
しかし走り幅跳びでマリオンが三位となり五冠を逃します。
そして女子の200でレース中にマリオンが全身に痙攣を起こし倒れてピクリとも動けなくなってしまいました。苦痛に顔を歪めながら担架に乗せられて退場するマリオン・・・。付き添ったハンターの心配する表情が印象的でした。
結局四冠を期待されたマリオンは一冠に終わり大会後CJハンターとも離婚してしまいます。その後パッとした戦績はありません。これが女王マリオンジョーンズ最後の大舞台となってしまいました。
ちなみにセビリアの200でマリオンがいない中優勝したのが世界トップの実力を持っているのにマリオンがいたので万年二位に甘んじていたアメリカのインガーミラー。
リレーでもインガーミラーの活躍で金メダルを取りマリオン不在でもアメリカ強しというのを世界に見せつけました。
また99年大会ではマイケルジョンソンがセビリアの伝説と言われる400m43,18秒という世界記録を出した大会でした。
同じく伝説と言われたバルセロナ五輪200決勝で出した19,32秒という記録が去年の北京でウサインボルトに破られたことで、現在MJが持つ最後の世界記録がこの400となっています(リレーを除く)。
話が前後しますが97年のアテネでは珍プレーも多かった。砲丸投げ決勝では「集中だ!集中しろ!砲丸投げでは集中が大事なんだ!うぉー!」とか叫んでた選手が叫んでるあいだに時間切れで失格w。
失格を告げられた後の呆然とした表情がまたなんとも言えなかったw。めちゃくちゃかわいそうでしたw。
また女子選手で女子のユニフォームが足りなかったため男子のユニフォームを借りて出たもののサイズがブカブカで走っている最中に胸がチラチラ見えてしまったというハプニングもありました。しかしそれでも走り切ったこの選手は立派だったと思います。
男子100では予選に遅刻して審判に「走っちゃダメ」って言われたのに勝手にスターティングブロックを調整して強引に走ってトップでゴールしちゃってなぜか予選通過してたとかいう事もありましたw。
審判に対しても押しが大切なんだな、と思えるような珍プレーでした
01年エドモントン大会
続いて01年エドモントン大会。このエドモントン大会は室伏広治が主要世界大会初のメダルを獲得した大会でした。金も期待されましたが惜しくもシモンジオルコフスキに負けて銀。しかしこの後日本陸上界のメダルゲッターとして活躍していくのはご存知でしょう。
二年後のパリ大会ではイワンティホン、アドリアンアンヌシュに次ぐ銅メダル、そしてアテネ五輪ではアンヌシュの失格による繰上げがあったとはいえ見事に金メダルを獲得!今大会の欠場が悔やまれます。
そして為末大も短距離種目で日本人初となる銅メダルを獲得!歴史に名を刻みました。この時アナウンサーが興奮して叫びすぎてゴール後声がかすれてたのが印象的でしたねw。
またあの偉大なる三段跳び選手、イギリスのジョナサンエドワーズの引退試合となったのがこの大会でした。スウェーデンのクリスチャンオルソンという凄い選手が現れた事で安心して引退出来ると思ったんでしょうね。
カールルイス、マイケルジョンソン、セルゲイブブカらと共に一時代を築いたジョナサンエドワーズ。多分100年後でも人々に覚えられている選手の一人でしょうね。偉大な選手でした。
と今日はこんなところで97年アテネ大会、99年セビリア大会、01年エドモントン大会を振り返りました。次回は03年パリ大会、05年ヘルシンキ大会、07年大阪大会を振り返ろうと思います。
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