世界陸上テグ大会六日目&七日目 〜終わらないデスプログラム〜

世界陸上テグ大会六日目&七日目 〜終わらないデスプログラム〜

さて世界陸上テグ大会の六日目と七日目で気になったトピックスをざっと振り返ってみましょう。

 

まずは六日目。男子やり投げは前大会銅メダリストの村上幸史に期待が集まりましたが予選落ち。今季世界ランク20位なので妥当といえば妥当な結果ではあるのですが、本来の力を出していれば予選通過くらいはできたはずなので残念です。

 

 

村上は大会前にピークをもってきてしまったのが敗因だったと思います。本番直前は83m越えのPBを連発していましたからね。逆に本番では81mを越えることができなかったというのはピークを早くもってきすぎてしまったがための調整失敗。

 

そしてノープレッシャーで投げられた前回とは異なり、メダリストとしてのプレッシャーがかかってしまったことも要因の一つにあげられるでしょう。

 

 

その点室伏広治は凄かった!大会前まではぱっとしない成績だったのにも関わらず、今大会はピークをきっちり合わせて予選含め全ての投擲でSBを出して金メダル。

 

今大会のやり投げは村上以外にもテロピトカマキやバシレフキスも予選落ちとなるハイレベルなものでした。そんな状況で今の村上が自分のベストの投擲ができないと戦えるわけがない。

 

今回室伏が見せてくれた調整能力は村上含め他の日本人選手も大いに見習うべきことでしょう。

 

 

男子3000SCはケニアのキプルトが優勝。キプルトはあのサイフサイドシャヒーンの世界記録に0.01まで迫ってる選手なんですね。今後も世界記録が更新される可能性があるのでちょっと注目したい。

 

ただ中長距離は他選手との駆け引きがあるからなかなか大舞台での世界新というのは出づらいですね。

 

 

女子走り幅跳びは前回大会優勝のサビネが途中で怪我をしてメダル無し。ウクライナのサラドゥハが優勝しました。昨日の競歩、カニスキナの優勝で終わったかと思われたデスプログラムの呪いがまだ残っていた・・・。

 

 

女子400mHは予想通りアメリカのラシンダデュマスが金メダル。ジャマイカのメラニンウォーカーも準決勝見てどうかと思ったけど決勝できっちり合わせてきました。

 

そして準決勝で走りが良かったロシアのアンテュクが銅。この種目は近い将来世界新が出るかもしれません。

 

 

番狂わせの男子400mH

 

男子400mHはイギリスのデイビッドグリーンが優勝。誰だよデイビッドグリーンってw。今日初めて知ったよw。

 

バーションジャクソン、バンジル、ハビエルクルソン、アンジェロテイラー、フェリックスサンチェスらの中に混じって勝つとは。ヘルシンキでの為末大以来の番狂わせじゃないかw。

 

 

しかしタイム的にはエドモントンやヘルシンキの時の為末なら金メダルを獲れていたという。エドモントンの時の為末のタイムは47.89。ヘルシンキの時は48.10。

 

今後日本にも全盛期の為末に近いようなタイムを出せるような選手が現れてくれば十分メダルを狙える種目であると思います。47.93のPBを持つ成迫の例を見てもまだまだいい選手が出てくる余地は十分にある。

 

為末さんにはロンドン後にコーチとなって自分を越えるような後進を育て上げて欲しい!

 

 

七日目の競技結果

 

そして七日目。男子200mでは日本の高平慎士と斉藤仁志が予選通過!準決勝は残念でしたが最終日のリレーに良い流れでいけると思います。

 

しかしリレーは高平、斉藤と江里口匡史はいいとして、もう一人は小林雄一でも川面聡太でも不安が残ります。塚原直貴が欲しいw。飯塚翔太にも伸びてきて欲しかった。

 

海外勢に目を向けるとやはりボルトが圧倒的。そしてルメートルも非常にいいタイム。ボルト、ディックスの次くらいに入れるかもしれません。この種目で非黒人のメダリストが誕生すれば03パリ大会の末續慎吾以来。なんだか誇らしいw。

 

 

女子やり投げは非常に面白かった!WLを出してトップに立ったアバクモアを世界記録保持者のスポタコバが逆転。そしてその直後の投擲でアバクモアが今度は大会記録を投げてまたしても逆転!

 

アバクモアが塗り替える前の大会記録はキューバのメネンデスがヘルシンキ大会かで出した当時の世界新記録。そんなハイレベルな記録を世界記録保持者のライバルに上回られた直後の投擲で投げられるアバクモアのメンタルにあっぱれです。

 

 

そしてそもそもメネンデスが世界陸上で出した当時の世界記録をスポタコバとアバクモアが二人とも投げているというレベルの高さ!この種目も近いうちに世界記録の更新がありそうです。もう一人の優勝候補と言われたオーバークフォルにも期待したい。

 

そして日本勢の海老原有希も日本勢女子として初の決勝の舞台で9位。惜しくも入賞はなりませんでしたが、また次回頑張ってもらいたいものです。

 

 

そして女子800mは予選と準決勝が行われました。この種目は個人的に大注目競技なんですよ。

 

なぜかというとここ近年の世界大会の結果を見ると2001年エドモントン大会と2003年パリ大会でマリアムトラが連覇して以来、2004年アテネ五輪ではケリーホームズ、2005年ヘルシンキ世陸ではスリアカラタイルド、2007年大阪世陸ではジェプコスゲイ、2008年北京五輪ではパメラジェリモ、2009年ベルリン世陸ではキャスターセメンヤと誰一人として同じ人が優勝できていないんですね!

 

毎大会新たな王者が誕生するこの種目は誰が勝つかわからないからいつも楽しみなんです。そういう意味では今大会もセメンヤに注目が集まっていますが、正直あまり優勝して欲しくないw。

 

彼女の力強い走りは大好きなんですが、このジンクスはもっと続いて欲しいのでw。というわけで優勝予想はサビノワとしておきます。

 

 

男子砲丸投げはデイビッドシュトールが優勝。

 

北京五輪金のマイエフスキ、ベルリン世陸金のカントウェル、大阪金のリースホッファー、大阪世陸銀のアダムネルソン、北京五輪と大阪世陸で銅のアンドレイミフネビッチ、今季世界ランク一位のアームストロングら群雄割拠で誰が勝つかわからない中抜け出したシュトール。勝負強い選手でした。

 

 

女子5000mではケニアのチェルイヨトが優勝し、一万の二冠。今大会の長距離はもうケニア、エチオピア勢の独壇場という感じですがラドクリフの例とかもあるし、まだまだ非黒人でも勝負できる舞台ではあると思うんですよね。日本勢の奮起にも期待したい。

 

 

女子200mはベロニカキャンベルブラウン!アリソンの四連覇見たかった・・・。いつもの伸びが無かったのは400に出た疲れが間違いなく影響してたでしょうね。

 

それでもあえてトライしたアリソンのチャレンジスピリットに拍手!そして銀メダルがジーター。デスプログラムの呪いは健在w。

 

 

男子走り幅跳びはドワイトフィリップス。この人の一本目の安定感は異常ですね。前回勝ったのは覚えてたけどもう世界陸上で金メダル四つ目とは知りませんでした。でもミッチェルワットやマクシャもいい選手でしたので今後の活躍に期待です。

 

 

男子マイルはアメリカが四連覇!ジェレミーウォリナーとカーロンクレメントが使えないハンデは厳しかったけどラショーンメリットさすがでした。

 

そして南アフリカはなんでこんな強くなったんだ?オスカーピストリウスもいるし。そして結果的にピストリウスを使わないという選択も的中したし。

 

あとグレナダは400m金のキラニジェームズとファイナリストのバーソロミューがいるのに他の二人がいないからマイルリレーには出れないんですね。非常にもったいない。他の二人を育てて次回大会ではマイルに出て欲しいです。

 

 

というわけでざーっと各競技を振り返ってみました。

 

 

大会もいよいよ残り二日

 

大会もいよいよ残り二日!今日の見所はなんといっても男子200mの決勝があります!ウサインボルトのリベンジはもちろんのこと世界新記録が見たい!でもフライングには気をつけて!w

 

女子走り高跳びも決勝。ブランカブラシッチ対アンナチチェロワの対決に注目。世界記録まで残り1cmのブラシッチ、そして残り2cmのチチェロワ。この競技でも世界記録が見たい!

 

 

その他村上は出ないものの非常にハイレベルな戦いが期待される男子やり投げ。今季90mを唯一投げている長身イケメンのアンドレアストルキルドセンは本来の投げができるのでしょうか。

 

また男子1500mや女子100mHも決勝です。大会も残り二日。最後まで楽しむぞー!

 

 

 

 

 

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