サッカーロンドン五輪アジア予選考察と本大会での海外組、OAについて

サッカーロンドン五輪アジア予選考察と本大会での海外組、OAについて

先日バーレーンに勝利して見事5大会連続で五輪出場を決めたU23五輪代表。

 

アウェーでシリアに敗れて自力突破が消滅した時はどうなることかと思いましたが、終わってみれば勝ち点15、得失点差+10という他グループと比較しても圧倒的な強さで予選突破を決めました。

 

 

この世代の特徴は二つあったと思っています。一つ目は代表を通じて選手が成長したという点。

 

今まではJリーグで活躍した選手が認められて代表入り、というケースが多かったですが、この世代はJリーグではレギュラーになれなかったけど、代表で成長したことでJでレギュラーを掴んだ、という選手が多かったです。

 

その代表例が扇原貴宏、山口蛍、濱田水輝ら。この三人は二次予選の段階ではJのレギュラーではありませんでした。山口、濱田も当時はチームの穴と言われ、扇原は二次予選のクウェート戦はベンチにも入れませんでした。

 

 

それが最終予選を戦っていく中で選手として成長し、Jでもレギュラーを掴みました。この三人の成長が最終予選を勝ち抜く原動力となったことを疑う人は少ないでしょう。

 

 

当落線上の選手が海外で成長

 

そしてもう一つは代表当落線上の選手が海外に行って成長したこと。大津祐樹は二次予選のクウェート戦ではメンバーから落ちましたが、その後ボルシアMGに移籍して成長。最終予選で救世主となりました。

 

酒井高徳も比嘉祐介の控えという立場でしたがシュトゥットガルトに移籍してレギュラーを獲得。最終予選は一試合のみの出場でしたが、もし本大会に選ばれることがあれば重要な戦力となってくれるでしょう。

 

 

このようにレギュラーの選手は代表戦を通じて成長し、レギュラーでない選手は海外で成長してから再度代表に合流して底上げをする、という良いサイクルができていました。

 

 

さて今後は本大会に向けてさらに戦力の底上げが必要になってきます。注目すべきはやはり海外組とOAだと思うので、ここで海外組、OAの招集について考えてみることにします。

 

 

海外組

 

まずはなんといっても香川真司。23歳以下というカテゴリーでは世界屈指のアタッカーであり、現在トップ下の東慶悟が少々物足りないパフォーマンスであることを考えれば絶対に呼びたい存在。

 

では呼べるのか、という話になってきますが、FIFAは

 

・五輪のメンバー招集には拘束力は無い
・23歳以下の選手が招集されたら招集に応じる義務がある

 

という見解を出しています。矛盾していますよねw。どっちなんだよ!っていうw。

 

 

まあこんな曖昧な感じだから前回はメッシの招集を巡って裁判になったわけですが。

 

ただ前回の裁定を見る限り「拘束力は無いけど23歳以下の選手が出たいと言ったら出してあげなさいよ」というのがFIFAのスタンスのようです。

 

 

だから香川が出れるかどうかは協会の交渉がどうこうやドルトムントがどうこうではなく香川の意思次第だと思います。

 

香川が「五輪には是非行かせてください!ちゃんとコンディション整えてブンデスでも結果出しますから!」とチームに訴えれば来れる。

 

逆に「僕の口からはなんとも言えません。協会の交渉に任せています」みたいな消極的な意見に終始すれば多分呼べない。

 

さて香川はどういう選択をとるのでしょうか。

 

 

海外組に関しては基本このスタンスで判断できます。大津なんかは最終予選も出て五輪に出たいという意思もあるでしょうからおそらく呼べる。

 

酒井高は発言からシュトゥットでアピールすることを重視しているように聞こえるので呼べない可能性が高いか。

 

 

宮市亮は五輪に出たいという発言はしていました。ベンゲル次第ではありますが、ロンドンで行われる五輪ということと、アーセナルからはウォルコット、ウィルシャー、チェンバレンらが五輪に行くだろうということを考えると宮市も五輪には出れるんじゃないかという気がしています。

 

ただボルトンでの残留争いがあるためトゥーロン国際にはおそらく呼べません。宮市を呼ぶなら本番直前のぶっつけ合流となりますが、それでも関塚監督が宮市を呼ぼうとするかは別問題。

 

 

指宿洋史、宇佐美貴史、高木善朗も呼べることは呼べるでしょうが、この三人はトゥーロンでテストされてよほど目覚しい活躍を残せないとメンバーに残れないと思います。

 

同ポジションに大迫勇也、大津祐樹、原口元気、清武弘嗣らがいるので招集可否以前にメンバーに残れるのがそもそもギリギリのライン。

 

 

とここまで海外組の招集可能性に関してでした。

 

 

OAの選考

 

続いてOAに関してですが、ここもまず香川が呼べるか呼べないかで変わってきますw。

 

香川が呼べて、かつ最強のOAを呼ぶとしたら長友佑都、長谷部誠、吉田麻也といったところでしょうか。香川が来るのであればOA3枠はDH、CB、左SBに使いたい。

 

長友が日本最高の左SBであることは疑いようが無いですし、中盤の核にキャプテンシーのある長谷部を置けばチーム全体がしっかりするでしょう。吉田も高さ、強さ、上手さを兼ね備えた現在日本で一番のCBなので是非とも欲しい選手です。

 

 

たださすがにこの理想は厳しいでしょうw。特に長谷部は難しい。ドイツは五輪に出れないということもあり五輪を重視していません。23歳以下の香川でさえ難色を示されるのにましてOAで長谷部を呼ぶ許可は下りないでしょう。

 

長友もおそらく厳しい。セリエはブンデスより開幕が遅いのでドイツ組よりはまだ可能性は高そうですが、インテルのレギュラーですからね・・・。23歳以下の場合とは違ってOAは選手個人が行きたいと意思を表明してもクラブは拒絶できますから。

 

 

しかし吉田に関しては呼べるんじゃないかと思っています。

 

VVVは本田圭佑を北京五輪に出してくれたクラブですし、フェイエに所属していた小野伸二がアテネ五輪にOAで呼べたことも考えるとオランダのクラブはわりと五輪招集に関して好意的なんじゃないかと思っています。

 

VVVのような中堅クラブは選手の市場価値を上げて売ることも経営の一環ですし吉田が五輪で活躍すれば市場価値があがることを考えると呼べる確率はかなり高いのではないか。

 

 

というわけで現実的に呼べそうな海外組OAは吉田一人ということで残り二人を国内組から探すと左SBは駒野友一、ボランチは阿部勇樹あたりが第一候補になるでしょうか。

 

また、もし香川が呼べないのであればトップ下に中村憲剛は是非欲しい。

 

 

性格的に若い世代と軋轢を起こすような選手でもないですし、トップ下から中村憲がタクトをふるい、清武、大津、宮市、原口ら豊富なアタッカー陣を活かせれば攻撃が今まで以上に活性化するでしょう。

 

ですので現実的なOAは、

 

香川合流可・・・吉田、阿部、駒野
香川合流不可・・・吉田、駒野、中村憲

 

という感じになるのではないかと思います(吉田が不可の場合はトゥーリオあたりが第一候補でしょう)。

 

 

若い世代からOAを選ぶという選択肢も

 

最強のOAを選ぶなら誰にするかという観点で見てきましたが、最後に別の視点からOAを考えてみることもできます。

 

今大会のスペインがとっているスタンスなのですが、OAにも年齢制限をつけるという方法です。どういうことかというと「OAは年齢制限の関係でギリギリ五輪に出れない選手の中から選ぶ」ということ。

 

これは非常に良い方針なのではないかと思っています。同学年でも早生まれ、遅生まれの違いで五輪に出れる選手と出れない選手がいるというのはルールとはいえど不公平感がありますからね。日本でもこれを採用してみるのは面白いと思うのです。

 

 

たとえばもし香川が呼べないのであればトップ下に中村憲じゃなくて乾貴士や山田大紀を呼ぶ。この二人はもう1年遅く生まれていれば五輪代表の中心で活躍してもおかしくなかった二人です。

 

ボランチも長谷部や阿部じゃなくてジュビロの小林祐希などを呼ぶ。小林も永井謙佑や権田修一と同学年なのに生まれた日の違いで五輪代表の世代から外れている選手です。

 

DF、CBでは槙野智章が同じような立場にいます。このように生まれた日の巡りあわせが悪くて五輪に縁の無い選手にOAという形でチャンスを与える、という試みは非常に良いと考えます。

 

 

また、この方式ではしっかりした競争が確保されます。たとえばボランチに長谷部や阿部、遠藤保仁なんかを呼んでしまうとスタメンで使わざるを得ないと思うんですよ。たとえ調子が悪かろうがおそらく呼んだ以上は使わなきゃいけない空気になってしまう。

 

これではせっかく予選を通して成長してきた扇原や山口がスタメンから弾かれてしまいます。しかしボランチのOAが小林だったらどうでしょう。扇原、山口、小林で公平にスタメン争いができるでしょう。

 

出生日の関係で五輪に縁のない選手にチャンスを与えつつ、公平な競争が確保されるスペイン式のOAも面白いんじゃないか、ということを主張してこの記事を閉じさせて頂こうかと思います。

 

 

どのようなメンバー構成になるかわかりませんが、ロンドン五輪楽しみですね。是非ともいいメンバーを組んで頂いて男女アベックメダルを期待しましょう。

 

 

 

 

 

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