ロンドン五輪五日目の考察(体操、柔道、競泳、卓球、男子サッカーなど)

ロンドン五輪五日目の考察(体操、柔道、競泳、卓球、男子サッカーなど)

ロンドン五輪五日目は日本に二つ目の金メダルが生まれました。

 

体操個人総合で内村航平が金メダル!最初のあん馬をミス無く乗り切れば濃厚と昨日書きましたが、その通りになりましたね。ちょっとバランスを崩しかけていたところもありましたが、綺麗にまとめてあん馬で全選手トップ。

 

 

吊り輪でも普段通りの演技を見せて跳馬のシューフェルトでピタリと着地を止める。この時点で普通にやれば金メダル取れると思ったのでしょう。

 

平行棒、鉄棒では普段より難度を落として落下無く乗り切った時点で最終種目の床でたとえ大失敗しても他の選手は逆転できない点差がついていました。

 

 

最終的に平行棒、鉄棒で難度を落とし、床では手をつくミスがあっても92点台。92点という数字は内村以外誰も到達できない点数です。

 

ほぼ完璧な演技をして二位に入ったニューエンとの差は1,6点。落下一回以上の差です。世界選手権三連覇に加え五輪でも金メダル。これを成し遂げた体操選手は過去に一人もいません。

 

まさに内村が歴史上最強の体操選手であることを証明した試合だったと思います。

 

 

男子柔道は西山が銅メダル

 

柔道では男子で西山将士が銅メダルを獲得。イリアディスが敗退するという最大のチャンスだったのにも関わらずノーシードの選手に負けてしまったということで若干物足りなさはありましたが、きっちり銅メダルを取れたことは良かったと思います。

 

女子の田知本遥は優勢に試合を進めながらも相手の技で怪我をしてしまい敗退と残念な結果になりました。しかし本当に強い選手ならば怪我をしても有効2つのリードは守りきれたのでしょう。

 

田知本にはそこまでの実力が無かったということだと思います。

 

 

競泳では立石と星が銅メダル

 

競泳では男子200m平泳ぎで立石諒が銅メダルを獲得。北島康介は4位となりました。北島も150までは凄かったですが、やはり残り50伸びなかったのは年齢的な限界でしょうね。自分にできるベストの泳ぎはできたと思います。

 

世界新出したダニエルギュルタは凄い。このタイム出されちゃうともうどうしようもない。結局北島は世界ランク一位で100mと200mに臨んだものの、この両種目で海外勢がともに世界新。

 

時代が変わったということでしょうね。競泳で今まで個人種目五輪三連覇を成し遂げた選手は無し。競泳で長い間実力をキープし続けるというのはそれほど難しいことだと思い知らされました。

 

 

しかし4年前に一度引退していながらも再度現役復帰して世界のトップを目指したチャレンジは本当に凄い。現役復帰後の成績は世界選手権で銀と4位、五輪では4位と5位。凄いという言葉では形容しきれないくらい凄い。

 

試合後の表情には全て出し切った清清しさがありました。変な話ですが、最後に立石が自分を上回ったことで安心して日本の平泳ぎを託して自分は身を引けるなと感じたのでしょうか。

 

 

競泳選手としての純粋な才能はギュルタやファンデルバーグ、ダーレオーエンの方が上だったかもしれません。

 

それでも抜群の勝負強さで五輪二大会連続二冠と抜群の勝負強さで長年日本の競泳界を引っ張ってくれた。最後にメドレーリレーでメダル取らせてあげたいですね。最後のリレーでも持てる力出し切ってベストの泳ぎをしてほしい。

 

 

また女子200mバタフライでも星奈津美が銅メダルを獲得。星は日本選手権で2分4秒69という今期世界ランク一位のタイムを持っていたので、このタイムを出せれば金メダルも取れるかと思っていましたが甘かったですね。

 

優勝した中国のショウリュウヨウの2分4秒06というタイムは星がトップパフォーマンスを出してもおそらく届かない。実力通りの銅メダルと言えるでしょう。

 

それでも昨年の世界選手権ではわずかに4位とメダルを逃したので、今回五輪でメダルを取れて本当に良かったと思います。

 

 

その他、男子200m背泳ぎで入江陵介と渡辺一樹、女子200m平泳ぎで鈴木聡美、男子200m個人メドレーで萩野公介と高桑健が決勝進出を決めました。

 

15歳の渡部香生子は残念ながら準決勝敗退。第二の岩崎恭子にはなり損ねましたが4年間じっくり実力つけて次の五輪では世界のトップを目指して欲しい。

 

 

卓球女子シングルスでは石川佳純が3位決定戦で残念ながらストレート負け。チャンスはあったと思うのですが競った第1セットを落としたのが痛かったように思います。

 

 

男子サッカーは予選一位通過

 

男子サッカーは引き分けで一位通過。ベスト8でエジプトと当たります。負けていたらブラジルだったので厳しかったですが、女子サッカーと同じく「ターンオーバーで選手を休ませつつ負けない」というミッションをきっちりクリアしてくれました。

 

エジプトはトゥーロンで負けているので借りを返して欲しい。エジプトのサッカーは予選で当たったモロッコと似たようなスタイルでしょう。無敗で一位通過という勢いのまま勝ってベスト4へ進んで欲しい。

 

 

ベスト4に進んだらメキシコかセネガルと当たります。ここもイギリスが逆ブロックに行ってくれたことは大きい。ブラジル、イギリスいずれも決勝まで当たりません。

 

エジプトもメキシコもセネガルも日本は決して勝てない相手ではありません。男子サッカーで決勝まで進むというのは凄いことだと思うので、まずは最初のエジプト戦をしっかり乗り切って欲しいですね。

 

 

男子テニスシングルスでは錦織圭が世界ランク5位のダビドフェレールに勝ってベスト8進出。

 

また無気力試合による失格があって話題となっているバドミントン女子ダブルスでは藤井瑞希・垣岩令佳のフジガキペアがベスト4進出。バドミントン男子シングルスの佐々木翔もベスト8入りを決めています。

 

 

本日の見所

 

さて本日の見所です。

 

 

柔道では男子で穴井隆将、女子で緒方亜香里が登場します。

 

穴井は世界ランク3位。2010年での世界選手権では優勝したものの、それ以降はいまいち勝ちきれず3回戦くらいで負けるような大会が多いです。

 

 

潜在能力は誰もが認めるところ。課題は精神面と言われていました。男子が金メダルゼロというこの逆境に奮い立って良い方向に気持ちを持っていけば決勝で当たるであろう世界ランク一位のラコフをも上回る力を発揮する可能性はあると思っています。

 

まずは初戦。ここを気持ちよく一本勝ちできるようなことがあれば一気に波に乗れるのではないでしょうか。

 

 

女子の緒方は世界ランク2位。ただ地力ではランク1位のアギアルやランク3位のハリソンの方が強いかなという印象です。

 

ただアギアルとハリソンが順当ならばベスト4で当たり、潰し合ってくれるのは緒方にとって有利な点。緒方にとってはまずベスト4で当たるであろうテクメオにきっちり勝って決勝進出を決めて欲しいですね。

 

 

競泳ではまず金メダルの期待がかかる男子200m背泳ぎの入江。準決勝の泳ぎを見る限り、入江、ライアンロクテ、タイラークレーリーという3人の争いになるでしょう。

 

金メダルを取るためには最低でも1分53秒台が必要でしょう。つまり入江は今期ベストを出さなければいけない。

 

バサロに課題を残すのでロクテに勝つのは厳しいかもしれませんが、ロクテも昨日は4レース泳いでいて疲労はピークなはず。チャンスはあると思うので頑張って欲しい。

 

 

また女子200m平泳ぎでは鈴木が100mに続くメダルを目指します。100でメダルを取れているので気持ちが楽になったのか、のびのびとした良い泳ぎができているように見えますね。

 

準決勝で世界記録を出したレベッカソニはちょっと別格ですが、表彰台のチャンスは十分にあるので頑張って欲しい。

 

 

男子200m個人メドレーでは萩野と高桑が決勝。萩野のこの種目でのメダル獲得は正直厳しいか。ライアンロクテ、マイケルフェルプス、ラースローシェー、チアゴペレイラという四人の争いになるでしょう。

 

 

バドミントンでは女子ダブルスでフジガキペアが決勝進出をかけてカナダのペアと当たります。無気力試合による失格があったことで繰り上がってきた世界ランク下位のペアが相手なので、実力通りの力を出せば問題無く勝てるはず。

 

 

男子テニスシングルスでは錦織はベスト4を賭けてデルポトロと対戦。過去一度も勝ったことがない格上の相手ですが、フェレールに勝った勢いそのままにベスト4まで駆け上がって欲しい。

 

 

体操女子個人総合では田中理恵と寺本明日香が出場します。メダルは相当厳しいですが、入賞は十分狙えると思います。

 

また女子アーチェリーなどでも団体で銅メダルを獲得したメンバーが個人戦でもメダルにチャレンジします。

 

 

現在金メダルは2個と少ないもののメダル総数では世界3位と全体的な底上げが見られる日本チーム。本日もメダルラッシュに期待しましょう。

 

 

 

 

 

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