ブラジルW杯 日本代表敗因分析その2
前回はザッケローニ監督の采配のブレを最初の敗因に挙げましたが、もちろん敗戦の責任を全て監督のせいにするつもりもありません。
それ以外の敗因もいくつか考え付きますので、挙げていきます。
まずはキャンプ地の選定。イトゥをキャンプ地にしたのは間違いだったと思います。
日本代表がグループリーグで試合をした会場であるレシフェ、ナタル、クイアバはいずれも高温多湿の環境ですが、イトゥは比較的寒冷で乾燥している地です。
さらに以下の画像がわかりやすいのですが、移動も非効率すぎる。
http://livedoor.blogimg.jp/birdsokuho/imgs/1/3/137510e8.jpg
初戦のレシフェと二戦目のナタルは比較的近い会場であるのにも関わらず、試合と試合の合間にイトゥに戻らなければいけないのでイトゥ→レシフェ→イトゥ→ナタウという無駄すぎる移動をこなさなければなりませんでした。
これは距離と気候を考えると札幌でキャンプして那覇に移動して試合して、試合後にまた札幌に戻って、数日後にまた那覇に行って試合する、というくらい非効率なものです。
ワールドカップは短期決戦。事前準備とコンディショニングで結果の7割が決まるとさえ思っています。
レシフェやナタル近郊にキャンプ地を構えていれば移動距離は格段に省略することができ、一戦目、二戦目は有利に戦えたことでしょう。
イトゥには日本代表のスポンサーであるキリンのブラジル本社があったという話も出ていますし、スポンサーのしがらみが事実なのかただの噂なのかはわかりませんが、もう少しコンディショニングを上手く考えられなかったのかと感じます。
自分達のサッカーができない時のサッカーが無かった
そして日本代表の戦い方にも問題があったと思います。
「自分達のサッカー」というフレーズがよく使われましたが、自分達のサッカーができている時の日本はたしかに強いです。
ベルギーやオランダといった強豪国すら圧倒できるサッカーができます。
ただしいつも自分達のサッカーをできるとは限らない。ワールドカップは普段とは違うプレッシャーがかかりますし、相手も日本の良さをきっちり消そうとしてくる。
普段やってるサッカーができないというのは当たり前のように起こりうることです。そういった事態に直面した時の対応力に欠けていた。
日本は守備力が強いチームではありません。だからこそ攻撃サッカーを志向したわけですが、攻撃サッカー一辺倒ではそれが通用しなかった時に打つ手がなくなってしまう。
攻撃サッカーが悪いと言うつもりはありません。ただ「攻撃サッカーしかできない」というのが問題なのです。
攻撃サッカーで首尾よく一点取った後は守備的に戦ってカウンター狙いをする、といったような柔軟な戦い方ができませんでした。
コートジボワール戦では一点先制したあと、相手が攻めてきた時に気持ちが守りに入ってしまいました。
日本は攻撃サッカーしかできない。一点リードしているとはいえ、さらに点を取って攻め勝つしかないと頭の中ではわかっている。
けれど相手の攻撃圧力に押されて、一点を守り切りたいという気持ちになってしまっていた。頭と体は攻撃しようとしているのに心は守ろうとしてしまっていた。
心技体がバラバラになってしまっていたところにドログバ投入によりスタジアムの空気まで一変した。あの逆転は必然だったと言わざる得ません。
せめて日本が守りつつカウンターというオプションも確立していれば、あれほどチームがバラバラになることもなく、しっかりチームの戦略として守りきる戦い方もできていたでしょう。
コロンビア戦でも同様です。前半終了間際にいい形で追いついて、さあこの流れで後半だ!と考えていたところで相手はハメスロドリゲスを投入してきた。
そしてハメスロドリゲス投入によって流れが再びコロンビアにいった。この時も「攻めなきゃいけないけど相手が攻めてきているから守らなきゃいけない」という状況が発生していた。
あの時間帯はまずは割り切って守備から考えるべきだった。「この時間を凌いだら再び自分達に流れがくる」という戦い方をすべきだった。
しかし結局耐えられずに失点してしまい、事実上試合はあの時点で決まってしまった。
日本が守備的に耐えるサッカーができなかったからです。日本が状況に応じて守備的にも戦えるチームであったならコロンビアの攻撃を耐えて、逆に日本が点を取って勝っていたかもしれません。
今大会は5バックで守備をしっかりするチームが結果を残していますが、日本も1点リードしたらCBを1枚増やして5バック気味の3バックにするとか、アンカーを1枚入れて中盤の守備を厚くするなどオプションはいくらでも考えられたと思います。
現に南アフリカの時は守備的にしっかり戦って結果を残しました。あの時は4試合で2失点しかしていないんです(しかもそのうち1点はPK)。
日本も守備的なサッカーをしようと思えばできるんです。攻撃サッカー、守備的サッカーと区切るのではなく、状況に応じて使い分けられる柔軟性が必要だったと思います。
以上主な敗因として、監督の采配、コンディショニング、チームとしての戦い方という三点を挙げました。
勝負の差は紙一重
実力を出し切れれば勝てたのに・・・とも思いますが、それができないのも実力でしょう。日本が力及ばなかったのは間違いない。
しかし日本はこんなに弱いチームではありません。采配一つ、コンディショニング一つ、戦い方一つでまったく別のチーム、別の結果になっていただろうということも私は思っています。
だからこそ悔しい。
私は日本サッカーはこんなものではないと思っています。しかし世間からはこんなものだったと思われてしまうでしょう。
この評価をひっくり返すにはやはり結果しかない。これからまたロシアワールドカップに向かう4年間が始まります。
今回の敗因をしっかり分析し、4年後は必ず結果を残して欲しい。
そして我々サポーターも批判すべきところは批判し、しかしそれでも根っこの部分では日本代表を支え、信じ、応援していくしかないでしょう。
今回の敗戦を必ず今後の日本サッカーの成長に繋げてくれると私は信じ、これからも日本サッカーを応援していきたいと思います。
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