小平奈緒 平昌五輪金メダルまでの8年の軌跡

小平奈緒 平昌五輪金メダルまでの8年の軌跡

小平奈緒が平昌五輪女子500mで見事に金メダルを獲得してくれました!

 

本当におめでとうございます!

 

そんな小平選手が初めて五輪に出場したのは2010年のバンクーバー五輪。

 

それ以来私はずっと応援し続けてきましたが、そんな私の目から見た小平奈緒の8年間の軌跡を紹介したいと思います。

 

 

2010年バンクーバー五輪

 

バンクーバー五輪当時の小平は今とは違い、どちらかといえば中距離タイプの選手でした。

 

当時の500mエースは吉井小百合でバンクーバーでは5位入賞。

 

ジョニーウォルフ、王北星、そして金メダルを取ったイサンファという3人の力が飛びぬけていた中での大健闘の5位でした。

 

 

そんな中小平は500mでは12位とぱっとせず。

 

しかし1000mでは5位入賞を果たします。

 

この時の銅メダルとのタイム差はわずかに0,08秒差。本当に惜しいわずかな差でした。

 

 

さらには1500mでも銅メダルまで0.3秒差の5位入賞。

 

1000mでも1500mでもメダルにあと一歩という選手だったんですね。

 

 

そんな小平もバンクーバー五輪でメダルを掴むこととなります。

 

それが3000mのチームパシュート。

 

当時35歳と長年日本の女子スピードスケート界を支え続けてきた大ベテランの田畑真紀、3000mで6位、5000mで7位とダブル入賞を果たした穂積雅子と組んだ3人のチームは見事な連携で銀メダルを獲得しました。

 

 

ちなみにこの3人の補欠だったのが平昌の1000mでもメダルを争った当時は15歳の高木美保。

 

高木美帆という好敵手との縁もこのバンクーバーから始まっていました。

 

 

見事に銀メダルを獲得したチームパシュートですが、金メダルまではわずかに0,02秒届かず。

 

これまた惜しい結果となりました。

 

 

バンクーバーの小平奈緒は個人の1000mでは0,08秒差でメダルを逃し、1500mでは0.3秒差でメダルを逃し、チームパシュートでは0.02秒差で金メダルを逃す。

 

そんな悔しさが残る大会だったと想像します。

 

 

2014年ソチ五輪

 

バンクーバー以降は徐々に短距離の才能を開花させていき、500mが中心の選手になっていきます。

 

そして2014年のソチ五輪では500mに勝負を賭けます。

 

 

とはいえ当時の力関係から考えると小平のメダルは難しく、入賞ラインの選手と見られていました。

 

当時は37秒台を出せればメダルに絡めるか、というところでしたが小平がそのタイムを出せるかどうかは微妙というのが前評判。

 

 

そんな中本番では1回目が37秒88、2回目に37秒72と持てる力を出し切った素晴らしいレースをしてくれました。

 

当初予想されていたメダルラインのタイムは出せた。持てる実力は全て出し切った。

 

 

しかし五輪のメダルはまたしてもあと一歩のところで小平から逃げていく。

 

世界のレベルもやはり高かった。

 

銅メダルの選手とのタイム差は2本合計で0.13秒差の5位。

 

 

またしても僅差でメダルを取れませんでした。

 

金メダルは37秒42と37秒28というオリンピックレコードを叩き出したイサンファ。オリンピック2連覇となります。

 

この時のイサンファはアウトスタートなのに最初から独走し、インスタートの選手をバックストレート時点で追い抜くというとてつもない走りでした。

 

当時、誰がこの圧倒的に強かったイサンファに4年後小平が勝てると想像したでしょうか。

 

 

世界の誰一人として想像してはいなかったと思います。

 

当の小平自身もそうだったかもしれません。

 

 

実力を出し切れずに負けることは悔いが残るでしょう。

 

「ああすればよかった」などと考えてしまうでしょう。

 

 

しかし実力を全て出し切り、やれるだけのことは全てできた上で圧倒的な力の差を見せつけられて負けたらどうか。

 

その時の選手の心境とはいかなるものなのか。

 

 

当時の小平は選手としてはピークの時期の27歳。

 

常識的に考えれば今後飛躍的に実力を伸ばすのは難しいだろうと誰もが考える年齢です。

 

私も正直小平はこのあたりが潮時だろうとも思ってしまいました。

 

 

しかし小平は自身の可能性を信じ続けていたんですね。

 

ソチ五輪のスピードスケートで圧倒的に強かったのがオランダ。

 

オランダはスピードスケートだけで23個のメダルを獲得しました。

 

 

そのオランダの強さの秘訣はなんなのか。

 

それを知るためにソチ五輪後、小平奈緒はオランダへ武者修行をしに行きます。

 

 

平昌五輪の金メダルへ

 

オランダ修行の成果は徐々に表れ始めます。

 

2014年11月にはW杯初優勝。

 

 

2015年2月に行われた世界距離別選手権500mでは銅メダルを獲得。

 

その2014/15シーズンのW杯500mで総合優勝を果たします。

 

 

ここからの小平はまさに破竹の勢いと呼ぶにふさわしい活躍を見せます。

 

2017年2月のチームスプリントでは36秒75という日本新記録を樹立。

 

 

そこからW杯で勝ち続け、500mではW杯15連勝、1000mでは世界新記録を樹立し、優勝候補大本命として平昌に臨みます。

 

 

しかし平昌の1000mではオランダのテルモルスに0.26秒差とまたしてもわずかな差で敗れて銀メダルに終わってしまいます。

 

五輪では常に僅差で敗れ続けてきた小平奈緒。

 

また日本選手団主将は金メダルを取れないというジンクスもありました。

 

 

そんな中迎えた、本命種目の500m。

 

ライバルは4年前圧倒的な力を見せつけられた五輪2連覇中のイサンファ。

 

そして会場は相手にとっての地元韓国。

 

 

結果はご存知の通り、小平が念願の金メダルを獲得しました。

 

タイムも4年前に圧勝したイサンファのオリンピックレコードを塗り替える36秒94。

 

これは低地での世界記録であり、初の低地36秒台です。

 

 

4年前は実力を全て出し切ってもメダルに届かなかった5位。

 

しかしアスリートとしてはベテランに差し掛かろうかという27歳から31歳かけて単身オランダに渡り、自らを磨き上げて実力を底上げした。

 

実力を出し切っても勝てないなら元の実力自体を圧倒的に引き上げればいい、という考えはベテランの域に差し掛かろうというアスリートにとってはなかなか難しいのではないでしょうか。

 

 

10台の伸び盛りのアスリートであれば4年で急成長するというのはわかります。

 

しかし23歳で5位、27歳でも5位という選手がその後の4年間でここまで成長するなんて普通はできないと思います。

 

 

僅差で負け続けてきたアスリートが2度の五輪を経て、環境を変え、自らを変え、圧倒的な強さを身につける。

 

凄いことです。

 

 

今大会の金メダルは凄い。タイムも凄い。

 

ただそれよりもソチから平昌までの4年間で実力を飛躍的に伸ばしたこと。

 

そして4年前は手も足も出なかった相手に圧勝したこと。

 

それこそが小平奈緒の最も凄いところではないかと私は思います。

 

 

 

 

 

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