ロシアW杯 日本対ポーランド戦の考察

ロシアW杯 日本対ポーランド戦の考察

ロシアW杯グループリーグ3戦目の日本対ポーランド。

 

日本は0−1で敗れたものの、フェアプレーポイントの差により2位で決勝トーナメント進出。

 

様々な意見が出ているこの試合だが、今最も強く感じることは西野監督の精神力の凄さ。

 

この大一番でいくつかの賭けに出て、その全てが当たっている。

 

 

まずは先発6人を入れ替えるという賭け。

 

これは試合結果として見れば失敗。岡崎や武藤や酒井高徳は全然攻撃面で良さを出せなかった。

 

乾や香川や大迫を出していたら日本が先制点を取れて勝てていたかもしれない。

 

 

しかしその場合、主力メンバーが3試合の疲労が溜まった状態で決勝トーナメント初戦を迎えることになる。

 

その状態でベルギーやイングランドを相手にするには相当厳しい。

 

 

だから目標をベスト16ではなくベスト8に置くなら今日の先発6人入れ替えは成功。

 

決勝トーナメント初戦を勝つ可能性は幾ばくか上がったはず。

 

 

今回はコロンビアがセネガルに勝ったから通過できたが逆にセネガルがコロンビアに勝っていても通過できていた。

 

そう考えると日本は負けても通過できる可能性はそれなりに高かった。

 

2試合を終えた時点での状況、過密日程や暑さを考慮してもメンバーを入れ替えるならここのタイミングしかなかった。

 

 

だからといってメンバー落とせます?

 

それで負けて敗退していたらバッシングを受けるのは必至でしょう。

 

理屈ではわかっていても、私にはそれはできない。

 

 

しかし西野監督はそれをやれる精神力があった。

 

一方でミスから失点を招くなど批判されていたGKの川島は替えずに、あえてキャプテンとして任命した。

 

そして川島はビッグセーブで失点を防ぐなど期待に応える活躍をした。

 

ここでも賭けは成功していた。

 

 

今回の1戦を終えて、結果的に「主力を温存して決勝トーナメント進出」という最高の形になっている。

 

 

衝撃の0−1で負けている状況での逃げ切り策

 

そして終盤の負けてる状態でのボール回しという消極策。

 

あのまま攻め続けていた場合、日本が同点に追いつく可能性もあった。

 

一方でカウンターから失点する可能性、激しい展開でイエローカードを貰う可能性、すでに一枚イエローカードを貰っていた槙野が二枚目を貰って退場する可能性と様々なリスクが想定された。

 

 

そしてメリットとデメリットを見極めた上で、あのまま攻め続けるよりも0−1のまま試合を終わらせて「コロンビアがセネガル相手に1点を守り切る」可能性の方が高いと踏んだ。

 

理屈で考えればたしかにそうかもしれない。確率論的にそれは正しい戦略かもしれない。

 

 

しかしそんなこと普通の精神力でできるだろうか?

 

監督なら誰しも自分のチームを信じたい気持ちはあるだろう。

 

それでも自分のチームを信じるよりもコロンビアを信じる方が可能性が高いというある意味冷酷な決断。

 

 

心情としてはあのまま同点を目指して戦う方が気持ち的にははるかに楽なはず。

 

予選リーグを抜けた今でさえ批判する人もいるのにあれでセネガルが追いついていたら果たしてどれほど批判を浴びたことか。

 

何言われるかたまったもんじゃない。

 

もし敗退したら日本に帰れないというくらいの覚悟での決断だっただろう。

 

 

自分のチームを信じたいという人情や敗退したらとんでもない批判を浴びるという恐怖。

 

そんな感情を排して、あくまで確率だけを信じ、より通過確率が高いだろうという選択をした。

 

ある種サイコパス的な凄みを感じる。そんな決断普通の人間ならできない。

 

 

私だって日本がボール回しを始めた時に「セネガルが同点に追いついたらどうするんだ!攻めないと!」と思った。

 

テレビの前で観ていた人間でさえそう思った。

 

冷静にどちらが確率が高いだろうかと思いを巡らせたのはその後だった。

 

 

それなのになぜ現場にいる当事者としての監督が、テレビの前で観ていた大多数の人間よりも冷静に確率を考えて決断することができたのか。

 

正直信じ難い。

 

普通の人間なら「0−1のまま終わらせよう」という選択肢すら頭に浮かばないのではないか。

 

 

私はそんな西野監督の精神力を称賛したい。

 

第三国のファンやメディアから批判されるのは仕方ない。

 

当事国ではない純粋なサッカーファンにとっては面白い試合が観たいのだから、そういう試合にできなかったことは批判されて然るべきだろう。

 

 

ただ当事国である日本人が「予選リーグ突破」という目的を果たしたにも関わらず批判するのは間違っていると思う。

 

つまらない試合だったかもしれないし他国に運命を委ねるというのは情けない選択に見えたかもしれない。

 

それでもルールの範囲内で勝ち上がるために最善の選択をした。

 

 

もし日本がサッカー強国だったらあのまま攻め続けて同点に追いついた確率の方が高かったかもしれない。

 

しかし今の日本はそうではない。

 

ポーランドはFIFAランキング8位。対する日本は61位。

 

その上控えメンバーという日本がポーランド相手に残り時間で追いつけた可能性はどれほどあっただろうか?

 

もし日本が追加点を取られて0−2になった場合、今度は1−0のままで両者突破できるコロンビア対セネガルが同じような展開になっていた可能性もあった。

 

 

弱者が勝ち上がるためには批判を浴び、泥をすすり、みっともない姿を晒しながら、それでも這い上がらなければいけない時もある。

 

それがまさに昨日の試合だったと言える。

 

これがサッカーであり、これがW杯であり、これが勝負の世界。

 

 

ちなみに日本は今大会のグループリーグで全チーム中最少のファウル数であり、W杯での19試合連続退場者無しというのは歴代一位らしい。

 

今回のグループリーグ突破はこれまでフェアプレーを積み重ねてきた日本にもたらされたご褒美なのかもしれない。

 

 

次の相手のベルギーは今大会最強の呼び声も高い強豪国。

 

普通に考えたら勝てない。勝てる確率は相当低い。

 

しかしポーランド戦で感情を排して確率を信じることができた西野監督であれば、ベルギー相手に1%でも勝率を上げるための策を練ってくるだろう。

 

 

ここまできたら信じるしかない。

 

もうここからはトーナメント。昨日のような負けてもいいという試合は存在しない。

 

どんな相手だろうが勝たなければ道は開かれない。

 

強豪のベルギー相手に勝ちにいく素晴らしいサッカーを見せて欲しいと思う。

 

 

 

 

 

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