北京五輪 2/10の競技レポートと明日の見所紹介
男子フィギュアスケートは鍵山優真が銀メダル、宇野昌磨が銅メダル、羽生結弦が４位という結果になりました。
フリーで最初に登場してきたのは羽生結弦。
冒頭からやはり４回転アクセルに挑んできました。
結果は転倒はしたものの、４回転アクセルという技自体は世界で初めて認定されます。
アンダーローテーションでＧＯＥ最低、転倒減点１点という考え得る限り最も評価の悪い４Ａではありました。
しかしプロトコルに「４Ａ」という記載がされたということは間違いなく歴史を切り開いてくれました。
クリーンな４回転アクセルについては羽生自身が今後も目指していくのか、それとも未来の選手に託すのかはわかりません。
ですが仮に羽生自身が成功させなくても、今回のチャレンジ、そして技の認定という出来事は未来にしっかりバトンを託すことになったでしょう。
挑戦が全て成功するとは限らない。しかしその挑戦は次に挑戦するチャレンジャーのための礎になる。
そんなことを思わせた羽生結弦の４Ａ挑戦でした。
４Ａの後に４回転サルコウでも転倒してしまいましたが、これは全力で４Ａを跳んで転倒したダメージがやはりあったのでしょう。
それでも以降のジャンプはクリーンに成功させ、フリーのみでの得点は全選手の中で３位。
ショートの８位から一気に順位を上げ、さすがという演技を見せてくれました。
羽生結弦が暫定トップを守り続ける中、最終組のショート上位３人でまず登場してきたのは宇野昌磨。
４回転を５本入れ、本人もノーミスは難しいと分析する挑戦的なプログラムでした。
最初のループ、サルコウは上手く着氷しましたが、３本目の本人の得意とするフリップで転倒してしまったのが本人としては残念でしょう。
後半もなかなか演技がまとまりませんでしたが、羽生に対してショートの貯金が10点近くあったため、宇野が羽生を抜いて暫定トップに浮上。メダルを確定させます。
そしてショート完璧で２位スタートの鍵山。
今大会から取り入れた４回転ループでステップアウトが出てしまうも、その後はしっかりまとめきる素晴らしい演技。
得点を待つまでも無く宇野を上回るのは確実という演技でした。
結果、宇野を抜いて鍵山が暫定トップに浮上。
この時点で１位鍵山、２位宇野、３位羽生と日本人選手がウェイティングルームを独占する状況に。
日本勢の複数メダルを確定させ、鍵山は好演技でネイサンチェンにプレッシャーをかけます。
ネイサンチェンに楽をさせない、という状況までは持って行くことができました。
しかし崩れなかったネイサンチェン。４年前はショートで崩れてしまいましたが、同じ轍は踏まないという素晴らしい演技。
後半のコンビネーションのサルコウが抜けるなどわずかなミスはありましたが、圧倒的な基礎点の高さを持つネイサンチェンにとって、その程度のミスはなんともありません。
見事に文句無しの金メダル獲得となりました。
結果はネイサンチェン、鍵山、宇野、羽生というショート終了時に予想した順位そのままとなりましたが、しかし見応えのある素晴らしい試合となりました。
スノーボード女子ハーフパイプでは冨田せなが見事に銅メダルを獲得。
女子としては日本スノーボードフリースタイル史上初のオリンピックメダルですので、また一つ歴史を切り開いてくれました。
１本目からしっかり攻めて86点を出すと、２本目はさらに得点を上げて88点。
女王クロエとスペインのカステリェトには上を行かれましたが、それでも３位をきっちり守って見事な銅メダルでした。
また冨田るきは１本目、２本目とミスが出るも３本目でしっかり通して５位入賞。
予選２位通過の小野光希はメダルを狙った攻めたランをしたものの決めきれずに９位。
まだ18歳と若いので次回以降に期待したいと思います。
スピードスケート女子5000mでは押切美沙紀が８位入賞。
前回９位と入賞まで一歩届かず悔しい思いをした押切ですが、今大会は自己ベストを出して入賞。
順位は１番上がっただけですが、大きな１番だと思います。
また18歳の堀川桃香も自己ベストを更新して10位。
未来に繋がるレースだったと思います。
カーリングは序盤いい流れでリードしていたのですが第６エンドで最後のドローショットをミスして相手に３点スチールされてしまったのが痛かった。
相手は世界ランキング１位のスウェーデンだったので、全体的なショットの精度で相手の方が勝っていたと思います。
明日はカナダ戦ということで引き続き強豪との試合となりますが、連敗は避けたいのでなんとか勝って欲しいですね。
そして明日の注目競技と見所紹介です。
10:30-10:55 スノーボード男子ハーフパイプ決勝１本目
10:57-11:22 スノーボード男子ハーフパイプ決勝２本目
11:24-11:49 スノーボード男子ハーフパイプ決勝３本目
15:05-18:00 カーリング女子予選ラウンド カナダ対日本
17:00-18:55 スピードスケート男子10000m
20:00-21:06 スキージャンプ男子ラージヒル予選ラウンド
いよいよ午前中から男子スノーボードハーフパイプがいきなり始まります。
平野歩夢、平野流佳、戸塚優斗、スコッティジェームズの金メダル争いにショーンホワイトがどう絡むかという試合になるでしょう。
最初に登場してくるのは戸塚優斗。
おそらく昨年の常勝ルーティンでもあり予選２回目でチャレンジしようとしていた、
FSダブルコーク1440→CABダブルコーク1260→SWBSダブルコーク1080→BSダブルコーク1260→FSダブルコーク1260
というルーティンで１本目は勝負してくるのではないでしょうか。
これを成功させた後、２本目以降に戸塚とスコッティの二人しかできない技であるSWBS1260を冒頭に持ってきたり、FSトリプルコーク1440を最後に入れてくるという戦略を考えているのではないでしょうか。
ショーンホワイトもおそらく予選２回目のルーティンで勝負してくるでしょう。
FSダブルコーク1080→CABダブルコーク1080→FS540→BSダブルマックツイスト1260→FSダブルコーク1260
というルーティンです。
平昌で金メダルを取った時は最初の二つのダブルコークが1440だったのですが、今のショーンにそれを決めきるのはなかなか難しいのではないかと読みます。
次に登場するのは平野流佳。流佳はＷ杯開幕戦でも優勝し、予選２本目でも成功させたルーティンに自信を持っているのでしょう。
SWBSダブルコーク1080→BSダブルコーク1260→FSダブルコーク1080→CABダブルコーク1080→FSダブルコーク1260
という４方向のダブルコークをバランス良く入れたルーティンで１本目は挑んでくるでしょう。
最初に４方向の中で一番難しいスイッチバックサイドから入ってきます。
滑り出した直後にクルッとスタンスを入れ替えて入っていくのがカッコいいので注目してみてください。
これを成功させたら２本目以降はラストヒットでトリプルコーク1440に挑戦してくると思います。
次に日本勢の最大のライバルとなるであろうスコッティジェームズ。
スコッティは予選で抑えていましたが、決勝ではＸゲームで優勝した時のルーティンをやってくるでしょう。
SWBSダブルコーク1260→CABダブルコーク1440→FS900→BSダブルコーク1260→FSダブルコーク1260
というルーティンです。スイッチバックサイドのダブルコークで1260まで回してこれるのは現在はスコッティと戸塚の二人しかいません。
そのSWBSダブルコーク1260からCABダブルコーク1440に繋ぐというのはトリプルコークを除けば世界最高難度と言って差し支えないルーティンです。
スコッティはおそらくトリプルコークは完成していないと思いますので、このルーティンを成功させた後にさらに難度を上げるならラストヒットをFSダブルコーク1440まで上げるくらいだと思います。
そして最後に登場するのが平野歩夢。
直前のスコッティの出来次第ではいきなりトリプルコークを繰り出すこともあるかもしれませんが、事前戦略としてはまず予選２本目のルーティンで得点をしっかり残すということを考えていると思います。
FSダブルコーク1440→CABダブルコーク1440→FSダブルコーク1260→BSダブルコーク1260→FSダブルコーク1080
というルーティンです。
これは平昌五輪で銀メダルを獲得した時と同じ高難度のルーティンですが、しかしSWBSが入ってない分、戸塚やスコッティがベストルーティンを決めてきたら下回る可能性があります。
そこで２本目以降はトリプルコークを投入してくるでしょう。
２本目はまず最初をトリプルコークにする代わりに、繋ぎのCABを1080に落として確実に繋ぐことを考えるかもしれません。
FSトリプルコーク1440→CABダブルコーク1080→FSダブルコーク1260→BSダブルコーク1260→FSダブルコーク1080
というルーティンでトリプルコーク込みのルーティンで得点を残しておく。
そして最後の３本目にCABを1440まで上げて、
FSトリプルコーク1440→CABダブルコーク1440→FSダブルコーク1260→BSダブルコーク1260→FSダブルコーク1080
という構成を狙ってくるのだと思っています。
全員がベストのルーティンをしてくるのであれば私はトリプルコークが一番安定している平野歩夢が本命だと思っています。
平野歩夢が一度もトリプルコークを決められなかった場合、他の選手にチャンスが出てくるというような予想をしています。
スノーボードが終わった後は15:05からカーリングの２戦目、カナダ戦があります。
相手は格上ですがここで勝てれば大きいです。
17:00からはスピードスケートの男子10000m。
土屋良輔は昨年の全日本で非常に良い滑りをしており、上位進出に期待です。
夜は20:00からスキージャンプラージヒルの予選があります。
日本勢の予選通過は間違いないところですが、決勝に備えていい感覚を掴んでおくためにも好結果を期待しましょう。
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