カタールW杯アジア最終予選 ホームオマーン戦雑感
グループの力関係を考えても絶対に勝ち点3を取らなければいけなかったホームのオマーン戦。
しかし終了間際に失点し、勝つどころか勝ち点1すら逃す痛すぎる敗戦を喫してしまいました。
試合展開としては妥当な結果とも言えますが、本来の実力差と今後のグループの展開を考えると本当に痛恨の敗戦でした。
敗戦の要因を挙げていくと、まず試合前の準備から暗雲が立ちこめていました。
冨安と守田がそれぞれクラブの事情で合流できず、板倉と南野が怪我で離脱。
ならば別の選手の追加招集も考えるべきところでしたが、呼んだのは昌子ただ一人。
一ヶ月合宿を張ったオマーンや今回のために33人を招集した中国と比べても大事な最終予選の初戦に臨むとは思えないほどの軽い準備でした。
「ベストメンバーで無くてもオマーンには勝てるだろう。中国戦は冨田、南野、守田が合流できているから大丈夫だろう」
そんな驕りは無かったか。
そして試合当日は大雨でピッチコンディションも悪いという日本の強みのパスサッカーが活かせない状況。オマーンの縦に速い攻撃が活きやすい状況。
格下が格上相手に勝ち点をもぎ取ることができる条件は揃っていました。
結局冨田、板倉が使えなかったため出番が回ってきた植田や守田の代わりに入った柴崎も良いプレーができず。
シュート数、枠内シュート数共にオマーンの方が上回っており、この試合の結果は必然なものだったでしょう。
最終予選に至るまではコロナ禍の影響でほぼ1年近く代表活動が止まり、2次予選も格下相手だけで強度のある戦いができませんでした。
選手個々はそれぞれクラブチームで活躍していましたが、短期間でそれらの個をまとめあげる具体的な戦術も見えず。
ならば二ヶ月近く活動を共にして、すでにある程度連携が取れている東京五輪チームを主体にするという手もありましたが、それも行わず。
打てる手を全て打って絶対に勝ちに行くという姿勢が見えませんでした。
しかし終わったものは仕方ない。
ここからどう立て直していくかという話をしなければいけないのですが、明るい兆しがなかなか見えてこないのが正直なところ。
本来カタールW杯に挑む世代はリオ五輪世代がメインになっていかなければいけないのですが、現状リオ五輪世代で主力になっているのは遠藤航と南野拓実と二人だけ。
ロンドン世代と東京世代が主力で間のリオ世代が抜け落ちているという歪な構成になっています。
本来ならば室屋、中島、オナイウなども代表の主力として育ててこなければいけなかった。
かつては日本の強みだった大迫や長友も選手としてのピークを過ぎ、今や世代交代が求められるポジションになってきています。
ですがわずか半年間の短期決戦。今からチームを作り直していくというのはあまりにも厳しすぎます。
現実的な手段としてはある程度チームとして完成している東京五輪のチームをベースに肉付けしていくのがベストかもしれません。
大迫は現状外せないと思いますが、左サイドバックは中山がある程度オリンピックで計算が立ったので、最終ラインは東京五輪メンバーで統一させてもいいと思います。
ボランチは遠藤航を軸に守田と田中碧を使い分けていく。
オフェンシブハーフは堂安、久保、南野を並べて伊東、鎌田、三苫をサブに。
そして1トップは大迫を軸にオナイウや林を使っていく。
このようなチーム作りが現時点で取り得る現実的かつ最良の手段だと私は考えます。
次戦は中国戦。
日本はカタールまで移動しなければいけないのに対し、中国はすでにカタールで合宿を張っているのでコンディション的にも日本は不利です。
それでもオマーン戦で勝ち点を取れなかった以上、この一戦は絶対に勝ち点3を取らなければいけない試合になります。
オーストラリアとサウジアラビアはホームできっちり勝っており、日本は出遅れたという状況。
日本がここから二位以内に入っていくためにはオーストラリアやサウジアラビアとの直接対決で勝っていくしか道はなく、次の中国戦で勝てなければ3位のプレーオフすら危なくなるという状況です。
背水の陣だと思って絶対に勝ちきらなければならない試合になります。
関連ページ
- カタールW杯アジア最終予選展望
- いよいよ2022年カタールW杯の出場権を賭けたアジア最終予選が始まります。日本はオーストラリア、サウジアラビア、中国、オマーン、ベトナムと同組。総合的な戦力で見るとやはり日本のライバルはオーストラリアとサウジアラビアになるでしょう。
- カタールW杯アジア2次予選グループリーグ雑感
- 今日から日本のワールドカップアジア二次予選が始まるため、各組の展望を簡単に解説する。ちなみにレギュレーションは8組に分かれて各組の1位と2位の成績4チーム、計12チームが最終予選進出というものになる。