東京五輪振り返りとパリ五輪への展望 その他競技

東京五輪振り返りとパリ五輪への展望 その他競技

東京五輪振り返りとパリ五輪への展望シリーズ。

 

最後にこれまで取り上げてこなかった残りの競技をいくつかまとめていきます。

 

 

・アーチェリー

 

男子個人で古川高晴が銅メダル、男子団体で銅メダルという結果でした。

 

古川はロンドン五輪の銀メダルに続いての個人メダル獲得ということでベテランの経験というものを見せてくれました。

 

また若い世代では男子は24歳の武藤弘樹がランキングラウンド5位、女子は23歳の山内梓がランキングラウンド7位と上位に入り力を示しました。

 

平均値で戦うランキングラウンドと違い、一発勝負の本戦では上位に残れませんでしたが、それも経験の差というのがあったでしょう。

 

今大会を経験した武藤、山内の二人はパリ五輪でも期待したい二人になります。

 

 

・ボクシング

 

女子フェザー級の入江聖奈が金メダル、女子フライ級の並木月海が銅メダル、男子フライ級の田中亮明が銅メダルという結果でした。

 

その中で金メダルを獲得した入江は来年限りでの引退を表明。田中は今後は未定と述べておりプロ入りの可能性もあります。

 

並木はパリ五輪への意欲をはっきり明言したわけではありませんが、「次は世界一を目指す」とインタビューで述べていたのでパリ五輪を目指す可能性は高いのでは無いかと思っています。

 

並木は現在23歳と若く、パリ五輪を目指すのであれば3年後も有力なメダル候補になります。

 

また今大会ベスト16で敗退した男子ウェルター級の岡沢セオン、男子ミドル級の森脇唯人もパリへの意欲を示しています。

 

 

・自転車競技

 

女子オムニアムの梶原悠未が銀メダルを獲得。梶原はまだ24歳。メダルを獲得した翌日の会見で早くもパリでは金メダルを目指すと明言し、3年後も期待できそうです。

 

一方で男子ケイリンの脇本雄太、新田祐大の二人は国際競技からの引退を表明し、国内の競輪に専念することになりました。悲願のケイリンでのメダル獲得は次代に持ち越されることになります。

 

新種目のBMXで入賞した中村輪夢、大池水杜はそれぞれ19歳と24歳。まだまだパリを目指せる年齢です。

 

そして女子BMXでは先日の全日本選手権で大池を破って15歳の内藤寧々が優勝しており、今後に期待です。

 

 

・フェンシング

 

男子エペ団体で金メダルを獲得。サプライズ的な金メダルではありましたがエペは元々力があり、エペ団体はW杯での優勝経験もありました。

 

長年日本のエペを引っ張ってきた見延和靖は34歳と次回は厳しい年齢かもしれません。

 

しかし山田優、加納虹輝、宇山賢の三人は三人ともまだ20代。そして山田優は現在世界ランク1位に立っています。

 

宇山は27位、加納は28位とまだまだ上位は遠いですが、これから国際大会でランキングを上げていければエペは個人でも団体でもメダルを期待できる種目になるでしょう。

 

男子フルーレで4位に入賞した敷根崇裕も現在23歳で世界ランクは5位とパリ五輪が期待できる選手。

 

女子はフルーレで上野優佳が世界ランク12位、東晟良が15位、東莉央が27位と総合力ではメダルを争える実力があります。

 

上野は19歳、東晟良は22歳、東莉央は23歳と三人とも若いのでさらに伸び代はありそうです。

 

女子サーブレは江村美咲が22歳の若さながら世界ランク17位と健闘しており、3年後に向けてメダルを狙えるレベルへの成長が期待されます。

 

 

・ゴルフ

 

女子ゴルフで稲見萌寧が銀メダルを獲得。また畑岡奈紗と男子の松山英樹も入賞しています。

 

ゴルフは地の利も大きいのでパリでも活躍ができるかというと未知数ですが、今回上位に入った三人は3年後も上位を争える実力はあるでしょう。

 

また女子ゴルフは古江彩佳や渋野日向子、山下美夢有、小祝さくらなど伸び盛りの選手がまだまだいるのでパリ五輪でも連続でのメダル獲得に期待です。

 

 

・スポーツクライミング

 

女子複合で野中生萌が銀メダル、野口啓代が銅メダル、男子複合で楢崎智亜が4位入賞という結果でした。

 

今大会はスピード、ボルダリング、リードの3種目複合で争われましたが、パリ大会ではスピードが分離され、スピード単一種目とボルダリング、リードの複合種目に分かれます。

 

日本ではスピード専門でやっている選手はほとんどいないので、日本選手の多くはボルダリングとリードの複合種目を目指していくことになるはずです。

 

今大会の出場選手の中で、野口啓代は東京五輪限りでの引退を表明しておりますが、野中生萌、楢崎智亜、原田海の三人は3年後も20代ですので、パリ五輪を目指していくことになるでしょう。

 

男子については楢崎が得意のスピードでアドバンテージが取れなくなるので今大会で順位を落としたリードの強化は必須です。

 

ただ楢崎も元々スピードが得意では無かった中で強化して東京五輪時点では世界トップレベルまで成長したという経緯があります。

 

それを考えればリードの強化というテーマをメインターゲットとしてパリまでの3年間強化できればパリ五輪でも有力な金メダル候補として迎えられるだろうと考えます。

 

また楢崎智亜の弟である楢崎明智や藤井快、緒方良行といった有力選手もパリを目指します。

 

女子についてはパリ五輪でも今大会で金メダルを獲得したヤーニャガンブレットが強いでしょう。

 

今大会はスピード5位、ボルダリング1位、リード1位という成績でしたが、パリ五輪では唯一苦手なスピードが外れてボルダリングとリードの複合種目になるのでさらに抜けた強さになるでしょう。

 

3年後を目指す選手としては野中生萌に加えて森秋彩や伊藤ふたば、谷井菜月といった10代の選手も育ってきていますので、打倒ガンブレットを目標に頑張って欲しいと思います。

 

 

・サーフィン

 

男子は五十嵐カノアが銀メダル、都筑有夢路が銅メダルという結果でした。

 

サーフィンはその地域の波を知っているかという地の利も大きいので、特に日本を拠点にしている都筑有夢路は地元開催を最大限に活かした銅メダルだったと思います。

 

五十嵐カノアも都筑有夢路も五輪直前シーズンの国際大会の平均成績よりも良い成績でしたので、パリ五輪でも同じ成績を再現できるかは未知数でしょう。

 

年齢的には今大会に出場した五十嵐カノア、大原洋人、都筑有夢路、前田マヒナは4人とも3年後も20代ですので、今後の成長には期待できると思います。

 

 

 

 

 

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