陸上競技 東京五輪振り返りとパリ五輪への展望

陸上競技 東京五輪振り返りとパリ五輪への展望

陸上競技の東京五輪におけるメダル数は銀メダル1、銅メダル1。どちらも男子20km競歩でのメダルでした。

 

金メダル2、銅メダル1という成績を残した2019年ドーハ世界陸上からは成績を落としてしまいましたので、パリ五輪に向けて立て直しが必要になります。

 

パリ五輪でもメダルを狙う主軸競技は競歩とリレーということになるはず。

 

 

男子20km競歩では池田向希が銀メダル、山西利和は銅メダルを獲得。

 

池田向希は3年後に26歳、山西利和は3年後に28歳とまだまだ伸びる年齢ですので、この二人がダブルエースとして日本の20km競歩を引っ張っていってくれるでしょう。

 

一方50km競歩は東京五輪を最後に終了。世界陸上では35km競歩が新設されるので、現在の50km競歩の選手の多くは35km競歩に転向するはずです。

 

オリンピックでも35km競歩が採用されるのか、もしくは競歩でも男女混合リレーが採用されるのではないかという話もあります。

 

 

35km競歩が採用されるのであれば、軸となるのは今回欠場したドーハ世界陸上優勝者の鈴木雄介でしょう。

 

今回日本の50km競歩はメダル無しに終わりましたが、鈴木雄介が出場できていれば全く違って結果になっていたかもしれません。

 

また今回6位に入賞した川野将虎も3年後に25歳と若いのでエースとして活躍してくれるはず。

 

 

もし混合リレーが採用されるのであれば、女子の強化も重要になってきます。

 

女子で期待できるのは今回13位だった藤井菜々子になるでしょう。

 

藤井も池田や川野と同世代で3年後に25歳。

 

酷暑のドーハ世界陸上では7位に入賞しており、藤井がメダルを狙えるレベルまで伸びてくれれば、女子20km競歩と混合リレーの両方でメダルを狙えることになります。

 

 

続きまして男子4×100mリレー。

 

今回はバトンパスで失敗してメダル無しに終わりましたが、リレーは日本のお家芸として負けられない種目。

 

パリ五輪で巻き返しを狙いたいところです。

 

今回は走力で劣る日本がメダルを狙いにいくために攻めたバトンで失敗してしまいました。

 

確実をメダルを取るためには個々の走力の底上げが必要になります。

 

今回は100mも200mも予選敗退でしたが、全員が最低でも準決勝に進めるような走力が必要でしょう。

 

今の日本選手は追い風が吹けば9秒台が狙えるというレベルですが、これを無風でも9秒台が出せるようになって欲しい。

 

多田、山縣、桐生、小池の中で最年長は山縣の29歳ですが、4人ともパリまでは問題ないでしょう。

 

下の世代を見るとサニブラウンの復活とデーデーブルーノの成長に期待したいところです。

 

 

また、競歩とリレー以外でも今回の東京五輪で光が見えた種目はいくつもありました。

 

男子走り幅跳びの橋岡優輝は6位入賞。ドーハ世界陸上でも8位に入賞しており、もう世界大会での入賞常連と言っていいでしょう。

 

橋岡は現在22歳とまだまだ伸び盛り。記録も着実に伸ばしているので次に目指すのはメダルになります。

 

 

男子110mハードルでは泉谷駿介と金井大旺が準決勝まで進みました。

 

泉谷は決勝まで0.03秒と迫っており、自己ベストも13秒06とメダルを狙う力はすでにあります。

 

泉谷もまだ21歳。これから先さらにタイムを伸ばすことも期待できます。

 

パリまでに12秒台を出していれば、メダルの可能性も高くなるでしょう。

 

同世代の村竹ラシッドも13秒28の自己ベストを今年出しており、二人で競り合いながら実力を伸ばして欲しい。

 

金井大旺は東京五輪後に歯医者の道へ進むことを明かしていたので、パリを目指すかはわかりません。

 

もう一人の代表の高山峻野は今回予選敗退となりましたが、自己ベストは13秒25で年齢もまだ26歳。

 

パリ五輪も十分に狙える選手になります。

 

 

男子3000m障害の三浦龍司は7位入賞。予選では8分9秒92の日本新記録をマークしました。

 

まだ19歳と可能性しか感じさせない走りを見せてくれました。

 

メダルを争うレベルの選手は7分台の自己ベストを持っていますので、三浦も残り3年で7分台の持ちタイムを目指していくということになるでしょう。

 

 

女子1500mでは田中希実が8位入賞。田中も現在21歳とさらに進化が期待される選手です。

 

中距離で世界と勝負できる日本人は人見絹枝さん以来と言っても過言ではないです。

 

決勝の壁、入賞の壁は破れましたが、その先のメダルの壁を破ることはできるか今後に楽しみです。

 

 

女子5000mでは廣中璃梨佳が7位入賞。田中希実より1学年下でライバルとして競い合ってきました。

 

女子の長距離トラックでのオリンピック入賞はアトランタ五輪での千葉真子さん以来。

 

その千葉真子さんはその後マラソンで活躍しましたが廣中さんはマラソンに進むのかトラックで戦い続けるのかという選択に迫られるでしょう。

 

 

女子マラソンでは一山麻緒が7位入賞。一山はまだ24歳とマラソンランナーとしてはかなり若く、今後も日本のエースとして活躍して欲しい存在。

 

持ちタイムは2時間20分29秒とかなりハイレベルですが、世界大会でメダルを取るような選手は2時間17分〜18分あたりに密集しています。

 

まずは野口みずきさんの2時間19分12秒という日本記録を更新し、タイムでも勝負の土俵に立ちたい。

 

今回の代表の前田穂南も現在25歳で持ちタイムは2時間23分30秒。

 

そして代表には選ばれませんでしたが松田瑞生は現在26歳で持ちタイムは2時間21分47秒。

 

パリまでの日本の女子マラソンは一山、前田、松田が中心となって回っていくと思われます。

 

 

男子マラソンは大迫傑が6位入賞。

 

しかし大迫は今回が現役ラストレースなので、パリ五輪に向けては他の選手の頑張りが必要になってきます。

 

今回出場した大迫と中村匠吾、服部勇馬は3人とも箱根駅伝ランナー。

 

箱根から世界へということを体現できたのか、それとも中村と服部の成績が奮わなかったことから箱根は関係なく、大迫という特異的な選手がたまたま現れただけの結果なのか。

 

それは今後の箱根ランナーの活躍から見極める必要があるでしょう。

 

現状パリ五輪に最も期待したい選手は鈴木健吾になると思います。

 

大迫の持つ日本記録を更新し2時間4分56秒の持ちタイムがあります。

 

男子マラソンでメダル争いに絡むには最低でも2時間5分を切る持ちタイムを持っていなければ難しいです。

 

鈴木健吾以外にも複数人が2時間5分を切るようなタイムを出してくれることを期待します。

 

 

投擲種目では女子やり投げが一番世界に近い状況にあります。

 

北口榛花は決勝に進み13位。

 

入賞はなりませんでしたが、北口はまだ23歳と若く、さらなる成長に期待です。

 

 

陸上競技はメダルこそ20km競歩だけだった一方で、若い世代の入賞が多く、パリ五輪に期待が持てる結果となりました。

 

そして陸上競技に関しては2022年にユージーン世界陸上、2023年にブダペスト世界陸上とパリ五輪までに毎年世界陸上が開かれます。

 

まずは世界陸上で経験を積み、パリ五輪に臨むという若い世代の選手にとって理想的なスケジュールが組まれています。

 

おそらくは今回の入賞者の中から2022年や2023年の世界陸上でメダルを獲得する選手も出てくるでしょう。

 

陸上競技はパリ五輪までの歩みも非常に楽しめる競技であると言えますね。

 

 

 

 

 

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