レスリング 東京五輪振り返りとパリ五輪への展望

レスリング 東京五輪振り返りとパリ五輪への展望

レスリングの東京五輪におけるメダル数は以下の通りとなりました。

 

 

金メダル5個
川井友香子(レスリング女子62キロ級)
川井梨紗子(レスリング女子57キロ級)
向田真優(レスリング女子53キロ級)
須崎優衣(レスリング女子50キロ級)
乙黒拓斗(レスリング男子フリースタイル65キロ級)

 

銀メダル1個
文田健一郎(レスリング男子グレコローマンスタイル60キロ級)

 

銅メダル1個
屋比久翔平(レスリング男子グレコローマンスタイル77キロ級)

 

 

金メダル5個を含む計7個と史上最高成績を残すことができました。

 

 

男子は金1、銀1、銅1という結果。

 

乙黒拓斗は22歳、文田健一郎は25歳と若いので3年後も金メダル争いは可能でしょう。

 

階級の層の厚さを考えると乙黒よりも文田の方が3年後はより金メダルに近いかもしれません。

 

今大会の決勝で負けたルイスアルベルト・オルタサンチェスの実力は本物でしたが、今大会まで無名だったオルタサンチェスはこれからマークされる立場になるのでどうなるか。

 

文田がきちんと研究して対策すればリベンジは十分可能でないかと思っています。

 

乙黒は群雄割拠の階級で今大会は巡りも良くて金メダルを取れたという結果でした。

 

ライバルが多い階級なのでさらに成長していかなければ連覇はおぼつかなくなるでしょう。さらなる成長に期待です。

 

銅メダルを獲得した屋比久翔平も現在26歳とパリ五輪出場は十分可能です。

 

今大会は番狂わせで銅メダルを獲得したという立場なので、これに驕らずこれからも世界選手権などで活躍し、ライバルからメダル候補と目されるくらいの実力を身につけて欲しいです。

 

 

女子は6階級中4階級で金メダルを獲得。

 

今大会は長年女子レスリングを引っ張り続けた吉田沙保里と伊調馨がいない初めてのオリンピック。

 

世代交代が上手くいくかが問われた大会になりましたが、見事にレジェンド二人の不在を痛手にしない好成績を残すことができました。

 

伊調馨を正面から乗り越えた川井梨紗子は見事に連覇を達成。

 

自らは階級を下げて伊調に挑み、自身がリオでメダルを取った62kg級を妹の川井友香子のために空けて、川井友香子も金メダルを獲得しました。

 

そしてリオ五輪で吉田沙保里の練習パートナーとしてリオまで同行し、吉田の衝撃的な敗戦を現地で見届けた向田真優。

 

吉田沙保里が引退会見で後継者として名前を挙げた向田が見事に前回大会の吉田のリベンジを成し遂げてくれました。

 

さらに日本女子レスリングチームの新エースとして名乗りを挙げた須崎優衣。

 

4試合全てテクニカルフォールで勝利し、4戦トータルのポイントは41-0というオリンピック史上稀に見る圧勝劇。

 

吉田、伊調がいなくても日本の女子レスリングは強いと十分すぎるほど世界に示す活躍でした。

 

 

パリ大会への展望ということで3年後を考えてみると川井梨紗子と須崎優衣は3年後もまだ20代。

 

国内に彼女達を破るような強力なライバルも見当たらないのでパリ五輪の有力候補でしょう。

 

須崎は入江ゆきに敗れて世界選手権の代表を失い、オリンピックが絶望的になったこともありましたが、須崎の方が若く、またオリンピックであれだけの実力を示したので、今後は入江ゆきに苦戦することも無くなるのではないかと思います。

 

向田真優はオリンピック後にコーチの志土地翔大さんと結婚し、志土地真優としてパリ五輪に向けて再出発。

 

しかし同じ階級には藤波朱理という素晴らしい選手が育ってきています。いや育ってきたどころか、もはや今戦えば向田より強いのでは、すでにこの階級の世界最強では、という呼び声も高いです。

 

藤波はまだ17歳にして今年の全日本選抜選手権に出場すると、準決勝で2018年世界選手権金メダリストの奥野春菜に11-2で圧勝。

 

さらに決勝では2019年世界選手権銀メダリストの入江ななみに10-0のテクニカルフォールで圧勝。

 

公式戦の連勝記録は現在75連勝としています。

 

今大会金メダルを獲得した向田でさえ2019年日本選手権決勝で奥野春菜と戦った時は2-1と接戦。

 

金メダルを取った向田でも苦戦した奥野に圧勝している藤波という構図は藤波の実力の高さを示すのに十分な比較でしょう。

 

おそらく今年の世界選手権で世界のレスリング界は藤波朱理を知ることになります。

 

そして3年後のパリ五輪では20歳になった藤波朱理を日本中が知ることになるでしょう。

 

 

川井友香子の62kg級についてはもちろん川井友香子もパリでの連覇を狙える有力選手ではありますが、この階級は18歳の尾崎野乃香が実力をつけてきています。

 

慶応大学に通う尾崎野乃香は2018年のユースオリンピック優勝、2018年と2019年の世界カデット選手権優勝、2021年全日本選抜選手権でも優勝とこの世代でも負け知らず。

 

3年後のパリ五輪代表争いは川井友香子と尾崎野乃香の激しい争いが繰り広げられることでしょう。

 

 

レスリングは今年の10月に世界選手権があり、先に紹介した藤波朱理や尾崎野乃香など非五輪組の比較的若い世代を日本は送り込みます。

 

この大会がパリに向けた第一歩。若い世代の活躍に期待したいですね。

 

 

 

 

 

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