新・男子マラソン4強の大学時代を振り返る

新・男子マラソン4強の大学時代を振り返る

5年前の2013年頃も男子マラソン4強時代と言われていた。

 

その時は川内優輝、中本健太郎、堀端宏行、藤原新の4人が活躍していた時代だった。

 

 

そしてここ1年で大迫傑、設楽悠太、井上大仁、服部勇馬という同世代の4人が大きく飛躍し、新4強時代とも言える時代に突入してきた。

 

そこで新4強と言われる4人の活躍を振り返りつつ、彼らの大学時代の活躍を振り返っていきたい。

 

 

2017年福岡から2018年福岡まで

 

最初に口火を切ったのが、2017年12月福岡国際マラソンでの大迫傑だった。

 

当時日本歴代5位となる2時間07分19秒でゴールする。

 

 

翌年2月の東京マラソンでは設楽悠太が2時間06分11秒の日本新記録を樹立し、井上大仁も2時間06分54秒の当時日本歴代4位の記録でゴール。

 

さらに井上大仁はアジア大会でも日本勢32年ぶりとなる金メダルに輝いた。

 

 

その後10月のシカゴマラソンでは大迫傑が2時間5分50秒を出し、設楽悠太の日本記録を更新。

 

さらに服部勇馬が12月の福岡国際マラソンで2時間7分27秒という日本歴代8位の好タイムで走った。

 

 

2017年の福岡から2018年の福岡までの約1年間にこれだけの好成績が続出したことは驚きである。

 

東京五輪の出場権を争うMGCというシステムや日本記録を更新した選手に与えられる報奨金1億円の存在、NIKEヴェイパーフライの登場など要因は数多く考えられる。

 

 

それに加えてこの4人はほぼ同世代であり、彼らが学生の時に東京五輪の開催が決まり、学生時代からそれを視野に入れて駅伝などで競い合っていたという共通点がある。

 

そこで今回は彼ら4人の大学時代の走りを振り返ってみたい。

 

 

2010年に大学進学した大迫傑と設楽悠太

 

日本記録保持者となったこの二人は2010年に大学に進学した同期。

 

早稲田大学に入学した大迫傑は2010年の出雲駅伝でデビューを果たすと、2010全日本大学駅伝では2区で先頭の東洋大学柏原竜二との差を20秒縮める7人抜きの快走。

 

 

その全日本大学駅伝では東洋大学の設楽悠太も5区で駅伝デビュー。

 

区間新記録を上回る快走だったが、同じ5区を走った早稲田ルーキーの志方文典の方がさらにそれを上回る区間新記録で走り、大迫や志方の活躍で早稲田が優勝。

 

 

2011年の箱根駅伝では1区で大迫傑が飛び出し、2位に54秒差を付けて区間賞を獲得。

 

一方設楽悠太は3区を走ったが、先頭を走る早稲田の矢澤曜との差を広げられ、最終的に優勝した早稲田が2位の東洋と21秒差という史上最少タイム差で勝ち、大学駅伝3冠達成。

 

1年次は早稲田の大迫傑が大活躍し、東洋の設楽悠太は後塵を拝す結果となった。

 

 

ちなみに大迫傑のマラソン日本記録、2時間5分50秒と塗り替えられた設楽悠太の記録、2時間06分11秒の差も同じ21秒。

 

二人のライバル関係を象徴するような因縁めいている数字である。

 

 

2011年に大学進学した井上大仁

 

翌2011年に井上大仁が山梨学院大学に進学。

 

1年次の井上大仁はまだ頭角を現していなかったが、2012年箱根駅伝では大迫傑と同じ1区を走っている(区間10位)

 

 

この年に活躍したのは昨年悔しい想いをした東洋大学と設楽悠太。

 

2011年出雲駅伝では3区で区間賞を取り、チームも優勝。

 

全日本大学駅伝では駒澤大学に優勝を譲るも、2012年箱根駅伝では7区で区間新記録の走り。

 

チームを優勝に導いた。

 

 

一方大迫傑は出雲で1区区間3位、全日本で2区区間2位、箱根で1区区間賞と力は見せたが、チームはそれぞれ3位、3位、4位という結果だった。

 

 

2012年に大学進学した服部勇馬

 

2012年になると服部勇馬が東洋大学に進学。

 

設楽悠太とは2学年差の先輩後輩という関係にあたる。

 

 

服部勇馬は2012出雲駅伝の3区で早速駅伝デビューを果たすが、同じ1年の青山学院大学、久保田和真に区間賞を譲る。

 

さらに4区で服部勇馬から襷を引き継いだ設楽悠太も区間2位となり、区間賞を青山学院の大谷遼太郎に譲る。

 

 

青山学院はそのままリードを保って3大駅伝初優勝。

 

今の青山学院の強さは、振り返るとこの時の優勝がターニングポイントだったと言えよう。

 

 

そして2012年の全日本大学駅伝では最終区まで東洋大学がトップを守るも、アンカーを任せられた服部勇馬が駒澤大学の窪田忍に逆転されて優勝を逃した。

 

先日の福岡国際マラソンで服部勇馬が窪田忍に勝ったことでようやくこの時のリベンジを果たせたと言えるかもしれない。

 

 

2013年の箱根駅伝では3区で大迫傑と設楽悠太と井上大仁が同走。

 

結果はトップを走る設楽悠太が区間賞を獲得。

 

 

大迫傑も強い向かい風の中、9人抜きの力走を見せ区間2位。

 

チームを12位から3位に押し上げた。

 

 

なお井上大仁は区間7位。

 

ちなみにこの年の箱根3区は他にも山中秀仁、中村匠吾、松枝博輝、久保田和真、市田孝らがおり、本当に豪華なメンバーだった。

 

この年の箱根3区を走ったメンバーでMGC権利獲得者は大迫傑、設楽悠太、井上大仁に中村匠吾を加えた4人。

 

中村匠吾も初マラソンでMGC権利を獲得し、2度目のマラソンとなるベルリンマラソンでは2時間8分16秒と好タイムで走っている。

 

東京五輪の代表三人は全員2013年箱根3区を走ったメンバーという可能性も十分考えられそうだ。

 

 

2013年シーズン、大迫傑と設楽悠太の大学ラストイヤー

 

大迫傑と設楽悠太の大学ラストイヤーとなった2013年シーズンだが、この年の出雲と全日本は駒澤大学が優勝。

 

しかし全日本2区では大迫傑と井上大仁に山中秀仁も加えた3人が同タイムで区間賞と好レースを演じてみせた。

 

 

東洋は出雲で設楽悠太が区間3位、服部勇馬が区間賞。

 

全日本では設楽悠太が区間2位、服部勇馬が区間4位と活躍するも、いずれも2位で駒澤に敗れた。

 

この年の駒澤は窪田忍、中村匠吾、村山謙太、油布郁人といったエースクラスに加え、中谷圭佑や西山雄介、そして後にMGCの権利を獲得することとなる大塚祥平といったスーパールーキーが入学した最強世代と言われていた。

 

 

そのまま駒澤の大学駅伝3冠なるかと言われていたが、箱根でストップをかけたのが東洋だった。

 

服部勇馬が2区で区間3位と好走し、設楽悠太が3区で区間賞を取りトップに浮上。

 

そのままトップを守り切り、東洋が駒澤の3冠を阻止した。

 

 

ちなみにこの年の1区は史上空前のハイレベルと言われ、大迫傑に加え、山中秀仁、中村匠吾、田口雅也、文元慧、一色恭志、市田宏、潰滝大記らが集まった。

 

2011年箱根駅伝で大迫傑が1区で大逃げを仕掛けて優勝して以来トレンドとなったハイレベル1区はこの年から2年後の2016年までの3年間でピークを極めることとなる。

 

現在の箱根駅伝の1区区間記録歴代10傑(12人)のうち、実に8人が2014年から2016年までの3大会で出した記録となっている。

 

また井上大仁はこの年の箱根で5区を走っており、オムワンバの棄権により参考記録扱いではあるが、区間8位相当の走りで登り適性があることも示した。

 

 

2014年シーズン、井上大仁の大学ラストイヤー

 

大迫や設楽兄弟といった強かった世代が抜けたこの年。

 

出雲駅伝が台風で中止という波乱の幕開けとなる。

 

 

全日本で強さを見せたのは前年に3冠を阻止された駒澤で村山謙太の1区区間賞から全区間トップで襷を繋ぐ完全優勝。

 

井上大仁はこの年主将を務め、4区で区間3位と好走し、チームにシード権をもたらす。

 

東洋の服部勇馬は2区で区間賞を獲得するも、チームは4位だった。

 

 

2015年箱根駅伝ではいよいよ今年こそ駒澤優勝なるかと思われたが、新・山の神登場により阻まれた。

 

青山学院の神野大地が山登りデビューを果たし、柏原竜二の持つ区間記録を更新。

 

青山学院はそのまま首位を守り続け箱根駅伝初優勝。それ以来、今年まで連覇が続いている。

 

 

なお服部勇馬は2区で区間賞を獲得。

 

井上大仁も3区を走り20位と苦しい位置で襷を受け取ったが、区間3位の力走を見せチームにシード権をもたらした。

 

主将としてしっかり走ったラストイヤーと言えよう。

 

 

2015年シーズン、服部勇馬の大学ラストイヤー

 

2015年シーズンは服部勇馬の大学ラストイヤーだが、この年からいよいよ本格的に青山学院の黄金時代へと突入していく。

 

2015年の出雲では青山学院が優勝し東洋は4位となるが、2015年の全日本では1区服部勇馬、2区服部弾馬の兄弟襷リレーに加え3区の口町亮も区間賞と1区から3連続区間賞のロケットスタートで勢いに乗り優勝。

 

 

この年の神野大地は不調で、アンカーを務めた全日本でも東洋アンカーの上村和生と27秒差の2位で襷を受けるも、逆転するどころか差を広げられて敗れていた。

 

2016年箱根でも東洋と青学の一騎討ちと見られており、東洋は2区で服部勇馬が2年連続の区間賞を取るなど活躍。

 

神野大地も1:19:17と神野にしては平凡なタイムで往路終了時点で東洋にも優勝チャンスはあると見られていた。

 

 

しかし6区の山下りで青山学院に新星が現れる。

 

1年生の小野田勇次が区間2位の快走で東洋との差を広げると、そのまま危なげなく走り切って青山学院が連覇することとなった。

 

 

この世代が活躍する日本長距離界

 

以上、新・男子マラソン4強と言われる大迫傑、設楽悠太、井上大仁、服部勇馬の4人が活躍していた2010〜2016シーズンの大学駅伝を振り返ってみた。

 

この4人以外にも、この記事で名前が出てくる窪田忍、中村匠吾、市田孝、市田宏、村山謙太、大塚祥平、一色恭志、神野大地といった選手も次々とマラソンに参戦している。

 

近年のマラソンのレベル向上は大学時代に競い合ってきた彼らがマラソンにチャレンジしてきたからという側面もあるだろう。

 

 

来年にはMGCがあり、再来年には東京五輪がある。

 

彼らの世代がどれくらい世界で通用するか楽しみでならない。

 

 

 

 

 

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