2018年柔道グランドスラム大阪 -東京五輪代表選考レース-

2018年柔道グランドスラム大阪 -東京五輪代表選考レース-

東京五輪の代表選考に大きく関わってくる柔道グランドスラム大阪が終わりましたので、結果を見つつ現在の各階級の状況を見ていきます。

 

 

2018グランドスラム大阪男子結果

 

まずは男子から。

 

 

男子60kg級は世界王者の高藤直寿がまさかの初戦敗退で永山竜樹が金メダル。

 

高藤が大きくリードしていたが、永山がその差を詰めた。

 

まだ世界を制した高藤の方が有利だが、来年の選抜や世界柔道で永山が高藤の上をいけば立場が逆転しそうだ。

 

 

男子66kg級は圧倒的な強さを誇っていた阿部一二三が決勝で丸山城志郎に敗れる波乱。

 

しかしまだまだ阿部一二三が大きくリードしており、丸山が東京五輪代表を掴むには今後も阿部に勝ち続けなければ道は開かれないだろう。

 

 

男子73kg級は大野将平が金メダル。怪我で欠場した橋本壮市との差をさらに詰めた。

 

今大会で立川新、海老沼匡という二人を立て続けに破って優勝したことも大きい。

 

世界ランキングポイントではまだまだ橋本の方が上だが、勢いは大野にある。

 

大きくリードしていた橋本に対して今年に入って追い上げてきたオリンピックチャンピオンの大野。

 

来年の世界選手権でも大野が勝てば立場逆転だろう。

 

 

男子81kg級は佐々木健志が金メダル。リオ五輪銅メダリストの永瀬貴規は銅メダル

 

世界選手権で銀メダルだった藤原崇太郎が怪我で長期離脱し、三人の中で最も実績の劣る佐々木が優勝したことで、さらにわからなくなった。

 

三つ巴の争いがギリギリまで続く可能性がある。

 

 

男子90kg級は向翔一郎が金メダル。復活を賭ける五輪王者のベイカー茉秋は三回戦敗退でさらに厳しい立場になってきた。

 

今大会怪我で欠場した世界柔道銅メダリストの長澤憲大もおり、この階級はまだまだわからない。

 

ランキングポイントでは長澤が有利だが、向やベイカーにもまだまだチャンスはある。

 

 

男子100kg級はウルフアロンが金メダル。

 

世界選手権ではメダルを逃したウルフだが、今大会はしっかり勝ち切って信頼を取り戻した格好に。

 

代表争いのライバルと目されていたアジア大会優勝の飯田健太郎を決勝で破ったことも大きく、この階級は再びウルフが差を広げた。

 

 

男子100kg超級は影浦心が銅メダル。王子谷剛志、小川雄勢、原沢久喜がメダルを逃すというやや寂しい結果に。

 

依然この四人の代表争いが続くが、四人とも決め手に欠ける状況。

 

まず来年の世界選手権代表を勝ち取ること。そしてそこでインパクトを残す結果を出すことが東京五輪代表を掴むために必要になってくる。

 

 

2018グランドスラム大阪女子結果

 

続いては女子。

 

 

女子48kg級は世界柔道銀メダリストの渡名喜風南がきっちり優勝。

 

準決勝でライバルの遠藤宏美を破り、決勝ではモンゴルの強豪ムンフバットを瞬殺するなど勝ち上がりも見事。

 

この階級はビロディドという絶対女王がいるが、渡名喜には東京五輪でその壁を乗り越えてもらいたい。

 

 

女子52kg級は世界選手権優勝の阿部詩が金メダル。

 

世界選手権前までは阿部詩と志々目愛、角田夏美の三人が横一線だったが、世界選手権で阿部が優勝したことで頭一つリードし、今大会でさらにリードを広げた。

 

準決勝で志々目愛、決勝で角田夏美とライバルの二人を直接破っての優勝で、有利な立場を固めつつある。

 

 

女子57kg級は玉置桃が銀メダルで舟久保遥香が銅メダル。

 

世界選手権優勝の芳田司はメダル無しに終わった。

 

玉置は準々決勝で強豪のカナダの出口クリスタを破り、準決勝で芳田を破るという世界選手権での2位、1位を立て続けに破ったが、決勝で出口クリスタと同じカナダのクリムカイトに敗れた。

 

ここで勝てていれば芳田とのさらに差を詰めることができていたが、銀メダルに終わったことでまだまだ世界選手権を制した芳田の方が優位な立場にいる。

 

 

女子63kg級は土井雅子が金メダル、鍋倉那美が銀メダル、田代未来が銅メダル、能智亜衣美が銅メダルと日本勢が表彰台独占。

 

世界選手権銀メダルの田代が能智に負けて敗者復活戦に回ったのは意外だったが、三位決定戦ではリオ五輪金メダリストのトレスティニャクを破ってメダルを確保し、最低限の結果は残した。

 

ここ数年の結果から見る現状はやはり田代が大きくリードしており、それを追う二番手が鍋倉。

 

その次は能智で、土井も今回の優勝で代表争いに加わってくるかという状況になっている。

 

 

女子70kg級は世界選手権優勝の新井千鶴が今大会もきっちり優勝し、盤石な立場を築きつつある。

 

ライバルは今大会銅メダルの新添左季や世界選手権銅メダルの大野陽子になるが、世界選手権とグランドスラム大阪を連勝した新井との立場をひっくり返すのはかなり難しい。

 

 

女子78kg級は佐藤瑠香が金メダル、梅木真美が銀メダルで世界選手権優勝のM田尚里は銅メダルで三つ巴の展開になってきた。

 

この三人に大きな実力の差はなく、今後の大会の結果次第でどうにも転びうる。

 

しかし現状では世界選手権で優勝したM田がややリードといったところだろう。

 

 

女子78kg超級は素根輝が金メダルで朝比奈沙羅と稲森奈見が銅メダル。

 

素根は世界選手権優勝の朝比奈に対してこれで三連勝。

 

しかし世界選手権決勝で朝比奈に敗れたオルティスに今大会決勝で敗れた。

 

今大会オルティスに勝っていれば印象は大きく違っただろうが、世界で勝った朝比奈と朝比奈には勝てるが世界で勝てない素根という状況になってしまっている。

 

現状はまだ朝比奈が有利。しかし素根が来年の世界選手権などで優勝し、世界でも勝てることを示せば立場が逆転する可能性はあるだろう。

 

 

 

 

 

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