世界陸上テグ大会最終日 〜夢の終わりの世界新記録〜

世界陸上テグ大会最終日 〜夢の終わりの世界新記録〜

さて世界陸上最終日。競技をざっと振り返っていきましょう。

 

まずは男子マラソンで堀端宏行が7位入賞!ちょっと1位のキルイは強すぎたましたが、3位との差は1分半も無かったので夏マラソンで安定して2時間10分切れる選手が出てくればまだまだ世界大会でのメダルも望みはあります。

 

堀端なんて世界ランク30位にも入って無いのにこの走りができたんですから。まだまだ可能性ある!

 

 

これで今大会の入賞は4つめ。ここまでの入賞はマラソンで2、競歩で2。やっぱりこの二つの種目はまだまだメダルを狙える余地がある。

 

そして団体では銀メダル!男子は6大会連続で団体メダルをキープ。男子マラソンで日本がメダル獲れなくなったのはケニアが確変してるだけかもしれませんね。

 

ケニアはたしか世界ランク30位以内に22人とか入ってますからw。ケニアとエチオピアを除けばまだまだ日本男子マラソンは世界トップレベルにあります。

 

あとマラソンでは裏番組のなでしこW杯に触れる織田さんと焦る中井さんが面白かったw。

 

 

4継では残念ながら予選敗退

 

男女4継予選では日本はどちらも予選敗退。

 

女子はそもそも走力で負けててバトンでも差をつけられず市川華菜も使えないとなるとどうしようもない。日本記録より0.5秒も遅いというのは残念ながら失敗レースでしたね。

 

ただ日本がどうというよりそもそも42秒台出さなきゃ決勝に進めないくらいのレベルだったので、日本記録でも43.39だからかなり厳しい。全員もう一段階走力をアップさせて42秒台を出さないとロンドン五輪での決勝進出は難しいでしょう。一層の奮起を期待。

 

 

男子はイタリアとネイビスが予想以上。38.4台が決勝進出ラインってこちらも相当レベル高くない?

 

と思って前回大会の決勝進出ラインを調べたら38.72でブラジルが決勝に残ってました。今大会日本の38.66は前回基準なら決勝に残れていたタイムです。やはりレベルが高かった・・・。

 

今回日本を上回って8位で通過したセントクリストファーネイビスのタイムは38.47。これを前回ベルリン大会の予選に当てはまると2位通過相当の記録です。

 

前回の予選通過タイムは2位が38.47であったから今回の8位で38.47というのはいかに高い記録水準なのかおわかり頂けるでしょう。

 

 

シドニー五輪からの連続決勝進出記録が途絶えてしまいましたが、また若い世代を育てて来年以降ではまた決勝の常連になってほしい。

 

個人的には何より飯塚翔太に期待しているのですが、山縣亮太、川面聡大、小林雄一、大瀬戸一馬あたりにもどんどん伸びていってほしい!

 

しかし塚原直貴ー末續慎吾ー高平慎士ー朝原宣治というメンバーは強かった・・・w。あの時くらいの強い日本リレー陣がもう一度見たいです。若い世代の台頭はもちろんのこと、塚原や末続、藤光謙司の復活にも期待したいところです。

 

 

同じ人が勝てない女子800

 

女子800mでは予想通りサビノワ!2004年以降世界大会での800女王の変遷はケリーホームズ→カラタイルド→ジェプコスゲイ→パメラジェリモ→キャスターセメンヤ→サビノワ。同じ人が二度勝てないジンクス。

 

やっぱり今大会もそうでしたねw。つまりはそれだけ実力伯仲で誰が勝つのかわからない面白さがあるということです。来年のロンドン五輪でもまた違う人が勝つのでしょうw

 

 

女子ハンマーはタチアナリセンコが優勝。調子良かったですね。この種目もまだまだ世界記録更新の期待が持てます。しかしリセンコって投擲の選手にしては凄いスリムですねw

 

 

男子5000mはモハメドファラーが勝った!強かった!きっちり二位に入るバーナードラガトもさすが。男女マラソン男女1万男女5000で全てケニア勢優勝という野望を止めたファラーは見事!

 

てかラガトって36歳なのにまだまだあの走りができるのは凄い。もともとは1500mの選手だったということもアナウンサーが言うまで忘れてましたよw。

 

まだアメリカに国籍移す前のケニア国籍だった頃にシドニー五輪でヒシャムエルゲルージと1500mと競ってたのを思い出しました。

 

 

男子走り幅跳びはアメリカの大学生、クリスチャンテイラーが強かった!自己ベスト&今季世界最高を出して優勝。テイラーと今大会は怪我で欠場したタムゴが今後も競っていけばあのジョナサンエドワーズの世界記録に手が届く時がくるかもしれませんね。

 

フィリップスイドウは連覇ならずで残念でした。あとクリスチャンオルソンが久々に世界の舞台で見れたのも嬉しかったです。

 

 

女子4継決勝はアメリカが優勝!3,4間のバトンの差が明暗を分けた感じでしたね。アリソン8個目の金メダルおめでとう!

 

しっかしフレイザー、スチュアート、シンプソン、キャンベルのジャマイカに勝てるとは。アメリカはアリソン、ジーター以外の二人も強かった。アリソン、リチャーズ以外の二人が頑張ったマイルの時と同じ感じですね。

 

 

最終種目で世界新記録

 

そしてそして大会フィナーレを飾る最終種目である男子4継ではジャマイカチームが世界新記録を出して優勝!今大会世界記録が一つも出てなかった中、最後の最後で出してくるウサインボルトはやはりスーパースター。

 

ジャマイカにはまだパウエルもアシュメードもデクスターリーもいる。なんという層の厚さ。ボルト、パウエル、ブレイク、ネスタカーターを除いたジャマイカセカンドチームでリレメン組んでもアメリカに勝てるかもw。

 

おそらく2走のマイケルフレイターをアサファパウエルに代えれば36秒台は出ますね。そしてアメリカやらかしはたしかヘルシンキ、北京、ベルリンに続き4大会連続だから想定内としても巻き込まれたトバゴがかわいそうだった。

 

 

アメリカ、トバゴ、イギリスが落ちた決勝では2位がフランスで3位がセントクリストファーネイビス。

 

思い起こせばキムコリンズって一人で10年以上セントクリストファーネイビスの短距離界を支えてきてたんですよね。そして彼に続く選手がネイビスにも現われてリレーでメダルを獲れた。

 

コリンズにとって今回リレーの銅メダルは朝原さんが北京で銅メダルを獲った時と同じような嬉しさがあるんだろう。ルメトルとの差を詰めた走りも執念を感じたし本当におめでとう。

 

 

今トリニダート・トバゴがジャマイカ、アメリカに次ぐ短距離王国になったのも思い返せばアトボルドンの影響が強いのでしょう。一人のスターに影響されて下が育つのはよくあること。

 

キムコリンズが活躍したセントクリストファーネイビスを始め、キラニジェームズがいるグレナダやアマントルモンショーがいるボツワナも今後はいい選手がどんどん出てくるのだろう。今後が楽しみですね。

 

 

日本の成績振り返り

 

というわけで九日間に渡って行われた世界陸上もこれにて閉幕。日本勢の成績に目を向けると室伏広治が14年ぶりに金メダルを獲得してくれる良いニュースはありました。

 

しかし全体の成績ではメダル1、入賞4。メダル2、入賞5という陸連目標&前回大会の成績を下回りました。

 

 

今後良い成績を収めるためには、まずは日本人が世界でも戦える種目を重点的に鍛えることが必要だと感じています。その指標としてはまず近年メダルを獲得したことがある種目が挙げられます。

 

男女マラソン、男子ハンマー投げ、男子4継、男子やり投げ、男子400mHは近年メダルを獲得していますから日本人だから無理ということはないです。

 

 

また同じように近年入賞した競技である男女競歩、男子棒高跳びあたりも圧倒的な運動能力の差で敗れたというわけでもないのでいい選手が出てくればメダルの望みはあるでしょう(女子一万でも前回入賞しているけどこちらはケニア勢の圧倒的な強さに押されてるからちょっと厳しいかな)

 

あとはヒントとして中国が活躍している競技に力を入れるという方法もありそうです。同じモンゴロイド系アジア人として中国にできて日本にできない道理は無いですから。

 

男子110mHや女子の投擲系種目などもいい選手が出てくればメダルを狙える競技になるかと思います。

 

 

だから本気でメダルの数を増やしにいくのであればメダルの望みが薄い種目から可能性の高い種目への転向というのも考えられますよね。

 

男女一万の有力選手がマラソンやったり、福島千里が110mHにもチャレンジしてみたり、金丸祐三が400mHにトライしてみたり・・・。

 

もちろん選手個々の意思もあるし難しいところだとは思いますが、為末大も「高平が400mHをやっていたら金メダルを狙えた」とまで言っています。世界で戦える種目への転向も一つの方法として視野に入れるのもありだと感じました。

 

 

ありがとう世界陸上

 

そしてやっぱり世界陸上の魅力である世界のトップ選手達の戦い。これには今大会も本当に痺れました。やっぱり私、世界陸上を愛していますわw。

 

 

小学5年生の時に初めて観てその後自分自身でも陸上を少しかじったのが97年アテネ大会。

 

中1の時MJの圧倒的な走りに魅了されて陸上部の友達と翌日語りまくった99年セビリア大会。

 

01年エドモントン大会で為末さんの銅メダルに朝から興奮していた中3の時の夏休み。

 

末続選手が200mで銅メダル獲得して朝4時に叫んだ03年パリ大会は高校2年の時でした。

 

大学受験に落ちて浪人していた時に観た05年ヘルシンキ大会では為末さんがエドモントン大会以来の銅メダルを獲得。「カーロンに勝てたのは日本人の魂のおかげ」と言ったセリフには勇気を貰いました。

 

世界一周中だったのでリアルタイムでは観れなかった07年大阪大会も帰国してから録画で全て見直しました。

 

大学四年時、学生最後の夏休みに観た09年ベルリン大会ではボルトの世界新二連発に大興奮。

 

 

こう思い返してみると私の青春時代は常に世界陸上と共にありました。そして大学を卒業し、自分自身の未来を模索している中で観た今年のテグ大会も素晴らしく楽しかった。

 

次回2年後のモスクワ大会。果たして私自身はどのような未来を歩みながら観ることになるのでしょう。

 

願わくば織田さんが放送の最後に言っていたように平和で、そして織田さん中井さんと共にまた連日連夜熱狂できることを願って・・・。

 

世界陸上テグ大会考察 完

 

 

 

 

 

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