ロンドン五輪十三日目の考察(女子レスリング、女子サッカー、陸上、バレーボール、テコンドー)

ロンドン五輪十三日目の考察(女子レスリング、女子サッカー、陸上、バレーボール、テコンドー)

大会十三日目も女子レスリングの勢いが続いています。

 

吉田沙保里が伊調馨に続き三連覇を達成!五輪と世界選手権合わせて12連覇はあのソ連で最も偉大なスポーツ選手と言われたアレキサンダーカレリンに並びました。

 

初戦は少し動きが固いかなとも思いました。昨日の伊調を見た時は四年前より強くなっていると感じましたが、初戦の吉田を見た時は四年前より弱くなっているように感じました。

 

ひょっとしたら優勝は難しいのでは・・・と思いました。しかしそんな心配は杞憂でしたね。全試合通じて1ピリオドどころか1ポイントすら落とさない完勝でした。

 

 

試合運びも磐石で相手に一分の隙も見せない戦い方。レスリングは1ピリオド2分でもしポイントが同点だったらビッグポイント>ラストポイントという優先順位でピリオドの勝敗が決まります。

 

特にラストポイントはたとえば1−1の同点でも最後に点数を取った方が勝ちになるというルールでかなり重要です。吉田はこのルールに応じた磐石な戦い方をしていました。

 

 

まず早い段階で1ポイント取っても後々1ポイント取り返されて同点にされたら負けてしまう。なので最初の方は攻めない。フェイントを織り交ぜつつカウンターを狙う。

 

そして1分30秒過ぎくらい。残り試合時間30秒となったところで「さてそんじゃそろそろ行かせて貰いますよ」という感じで攻めてポイントを取ってそのまま相手に逆転する時間を与えずに勝ってしまう。

 

 

最初の1分30秒は「いつでも来ていいですよ。来たらカウンターで点取りますけどw」そして残り30秒で「来れなかったですね。じゃあそろそろこっちから攻めさせて貰いますw」という戦い方w。

 

こんな戦い方は最初の1分30秒で点を取られない自信、そして残り30秒あれば自分は得点できるという自信が無ければできません。おそらく世界で吉田と伊調しかできないのではないでしょうか。

 

9月の世界選手権出場も意欲を見せているらしいので、カレリン越えの世界大会13連覇を達成して欲しいですね。

 

 

一方で浜口京子は残念ながら初戦敗退。72kg級という日本人には厳しい階級。34歳という年齢。そして去年から今年にかけての成績。トータルで考えて浜口のメダル獲得は非常に厳しいと思っていました。

 

ボールピックアップで有利なポジションを取れたときはいけるかなとも思いましたが残念でしたね。しかし長い間よくこの階級を支え続けてくれたと思います。

 

日本は下の階級ではジュニアの強化も進んでいますが、この階級は下もあまり育っていません。重量級でどう勝つかは今後の日本の課題となっていくのではないでしょうか。

 

 

女子サッカーは残念ながら銀メダル

 

女子サッカーでは残念ながらアメリカに負けて銀メダル。しかしアメリカが強かったしアメリカが優勝に値するチームだったというだけでしょう。世界の二位ですから本当に立派なものだと思います。

 

日本は今大会ずっと日本らしいサッカーができなかった。いいサッカーが出来なくてもなんとかブラジル、フランスには勝ちましたが仏の顔も三度までというべきか。この内容のサッカーで優勝させてくれるほどサッカーの神様は甘くないということでしょう。

 

決勝は今大会で一番いいサッカーができました。しかしアルガルベでアメリカの圧倒した時のパスサッカーに比べればまだまだ精度も連携も悪かった。

 

 

元々実力はアメリカのが上。力の差は大きい。そんな相手に勝つには自分たちのベストをぶつけるしかない。

 

昨日の日本は確かに大会を通じて一番良い試合をした。決勝にふさわしいサッカーだった。今の自分たちにできることは全てやった。しかし本当のベストをぶつけることはできなかった。

 

日本は世界二位の素晴らしいサッカーをやってくれました。銀メダルにふさわしいチームでした。世界で二番目に強い素晴らしいチームです。しかし金メダルにふさわしいチームはやはりアメリカだった。それだけでしょう。

 

 

今後は3年後のW杯に向けてまたチームを作っていくことになります。昨年のW杯からほぼ固定されてきたメンバーも今月行われるU20W杯のメンバーに徐々に入れ替わっていくでしょう。

 

今回悔しい経験をした岩淵、そしてU20世代の主力である楢本光、仲田歩夢、田中陽子、そして京川舞。彼女たちは澤穂希や宮間あやをも越えていく選手になると思っています。

 

彼女たちが澤や宮間を越えて日本代表の主力になった時。その時こそ日本が本当に優勝に値するチームになる時なのではないでしょうか。U20W杯も応援したいと思います。

 

 

ルディシャが見事な世界新

 

陸上では男子800mでデイビッドルディシャが世界新記録を達成!世界記録保持者として臨んだ昨年の世界陸上では記録は狙わず勝負に徹して手堅く金メダルを取りましたが、今回は攻めましたね。

 

五輪という大舞台でも恐れずに世界記録を目指して序盤から全力で飛ばす。そして実際に世界記録を叩き出してしまう。世界陸上でも強さを感じましたが、五輪でも改めてルディシャの強さを見せてくれました。

 

 

男子200mではウサインボルトが二冠達成。そしてジャマイカ勢が金銀銅の独占。ボルト、ブレイクまでは当たりましたが3位だけ予想が外れましたw。

 

ボルトはさすがの強さでしたが、ヨハンブレイクも引けを取らない走りをしましたね。今後の世界大会でもこの二人のライバル関係は続いていくことでしょう。

 

 

女子4継では日本は残念ながら予選敗退。バトンパスがそもそも上手くいきませんでしたね。走力で負けているのでバトンパスで勝たなければいけないのに、バトンパスすらミスしていてはもう勝負になりません。

 

土井杏南、市川華菜、福島千里、佐野夢加という美人四人のリレーを見れたことは良かったですがw次こそは決勝進出目指して頑張って欲しい。特に女子高生スプリンターの土井杏奈ちゃんには今後の成長を期待しています。

 

 

その他種目では十種競技で世界記録保持者のアシュトンイートンが貫禄の優勝。男子三段跳びではアメリカのテーラーとクレイが金銀独占。女子やり投げではチェコのスポタコバが優勝。ドイツのオーバークフォルは世界陸上に続いてスポタコバに敗れました。

 

 

女子バレーではブラジルに3−0で完敗。残念でしたが3位決定戦に期待したいですね。またテコンドーでは濱田真由が3位決定戦でフランスの選手に敗れました。こちらもメダルまであと一歩でした。

 

 

本日の見所

 

さて本日の見所です。

 

 

まずはなんといっても男子サッカーの3位決定戦!日韓戦です。韓国にとっては兵役免除がかかっている一戦。どんな手を使ってでも勝つとか言っていたので「買収?ラフプレー?」とか思いましたがw審判はイルマトフさんなのでその心配は少し和らいだかw。

 

韓国はA代表の選手が8人います。OAもフル活用していて日本でたとえるならば香川真司、本田圭佑、長友佑都らを全員呼んでいるようなものといっていいでしょう。

 

対して日本のA代表レギュラーは吉田麻也一人のみ。いわば日本U23代表対韓国A代表といっても過言ではないです。非常に厳しい試合になるはず。

 

 

ただここを勝ちきることができれば本当に大きい。この世代はユース世代で韓国に敗れてU20W杯への出場権を失っています。

 

そんな若い世代がこの世代最後となる世代でアジア三番手の実力を持つほぼ韓国A代表に勝つことができれば。それは今後の将来に向けてもの凄く大きな自信になるでしょう。

 

銅メダル獲得に向けて。そして将来の自分たちのサッカー人生に向けて。非常に重要な一戦となります。怪我にだけは気をつけて全力で戦って勝って欲しいですね。

 

 

そしてボクシングも準決勝。清水聡と村田諒太が決勝を目指して戦います。清水は地元イギリスの選手が相手。厳しい戦いになると思いますが頑張って欲しい。

 

村田は元世界ランク一位のアトエフが相手。昨年の世界選手権では勝っていますが厳しい相手であることに変わりはありません。

 

ここで勝って決勝に進めれば金メダルまでいけるでしょう。最大の山場になりますが、きっちり勝って表彰台のてっぺんまで駆け上がって欲しい。

 

 

陸上では男子マイルリレーや女子4継の決勝に注目。マイル王国アメリカは果たして頂点を守ることができるのか。バハマが非常に好調なのでバハマが勝つかもしれません。

 

女子4継はジャマイカ対アメリカ。フレーザー、キャンベルらがいるジャマイカかジーター、アリソンらがいるアメリカか。好勝負が期待されます。

 

 

また男子4継も予選。日本は北京に続いてのメダルを狙うため、まずは予選をきっちり突破したい。昨年の世界陸上では予選敗退。世界陸上での予選8位タイムは38秒47だったので38秒5を切るくらいで走れないと厳しいでしょう。

 

同組にアメリカ、トリニダートトバゴがいる厳しい組。フランス、ドイツがライバルでしょう。上位にバトンミスが無ければ日本の力は四番手か。日本は綺麗にバトンを繋いで、なんとか3位に滑り込むか、タイムでの決勝進出を目指したい。

 

 

男子レスリングでは高谷惣亮と湯元進一が出場。女子レスリングの良い流れそのままにメダル獲得を目指して欲しい。

 

大会も残りわずかとなってきましたが最後まで応援しましょう!

 

 

 

 

 

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