ロンドン五輪十二日目の考察(女子レスリング、陸上)
大会十二日目は女子レスリングで二つの金メダルを獲得!
一つ目は小原日登美。一度引退した小原は復帰後の48kg世界選手権でも二連覇。大本命として五輪に臨みました。決勝の相手は昨年の世界選手権決勝でも当たった最強のライバルであるスタドニク。
先に第1ピリオドを取られて追い込まれましたが、粘りに粘って2ピリオドを取り返して逆転してくれました。最後まで諦めないこの粘り強い決勝はまさに彼女のレスリング人生を象徴しているようにも思いました。
長いこと世界のトップにいながらスポットライトが当たらなかった影の苦労人が最後の五輪と決めて臨んだここロンドンでようやく報われましたね。本当に嬉しいです。
私の拙い説明ではあまり伝わりきらないかと思うので、彼女に関してはネットで拾った紹介文を以下に引用させて頂きます。
レスリング女子48kg級日本代表、小原日登美。
世界選手権は8度出場して8度優勝するなど、00年から11年までの国際大会の通算成績は80勝1敗を誇る。
お手本とも教科書とも言われる正確な技術が周囲に衝撃を与えた「彼女の登場で女子レスリングの歴史がかわった」と評する関係者もいたほどだ。
しかしオリンピックに51Kg級がなく目指すなら、実施階級の48kg級に下げるか、55kg級に上げるしかなかった。48Kgは妹がいる為断念。心身ともに万全ではない中、55Kg級で出場するが吉田に敗北。
「もうアテネは行けないんだ。」 気持ちが切れた。実家に引きこもり体重72kgに。「ひきこもり同然でした」
その後、小原は妹のコーチとして世界選手権に参加したが妹は8位に終わる。 妹から衝撃の提案。「日登美が五輪を目指した方がいい」
小原「もう1年やってみようよ。それでだめだったら自分が復帰するから」 妹「それだと遅い、ロンドンに間に合わないよ」
復帰後、10、11年の世界選手権48kg級を連覇し、48kg級でも世界のトップレベルであることを証明した。
11年12月、優勝すれば代表に内定する全日本選手権を圧勝。五輪代表の座をついに勝ち取る。
「妹、両親、旦那、コーチや支えてくれる人たち、いろいろな人の力あっての自分なんです。」
「みんなを笑顔にするためなら、どれだけ苦しんでもいい」
2012年、ロンドンオリンピック48kgで金メダル
そして伊調馨も小原のいい流れそのままに圧倒的な強さで金メダルを獲得!日本女子史上初の五輪三連覇、そしてレスリング界ではアレキサンダーカレリン以来の三連覇という快挙です。
もう磐石でしたね。今大会を通して落としたポイントはたったの1。私は北京の準決勝、決勝も伊調の試合を観ましたがあの時よりさらに進化しているように感じました。
これで実質153連勝。2003年から9年間試合では一度も負けていないというのは凄すぎる。
まだ27歳ですし実質200連勝、そして日本人初となる五輪四連覇も可能なんじゃないかと思わせるくらいの強さでした。これからもできるだけ長く強い伊調を観たいですね。
アリソンフェリックスが五輪で初の金メダル
続いては陸上。女子200mはアリソンフェリックスが優勝して初の五輪金メダルを獲得!ベロニカキャンベルブラウン、シェリーアンフレイザープライス、カルメリタジーター、サンヤリチャーズロスら豪華メンバーが揃った中で強さを見せました。
銀はフレイザー、銅はジーター。女子陸上界初の五輪三連覇を目指したキャンベルは残念ながらメダルに届きませんでした。
エレーナイシンバエワもベロニカキャンベルブラウンも跳ね返された女子陸上初の五輪三連覇。果たして誰が最初に成し遂げることができるのでしょうか。
男子110mH決勝はアメリカのアリエスメリットが優勝。予選からずっと調子が良かったですね。12秒94はお見事。ダイロンロブレスが足を痛めた時点でついていける選手はいませんでした。
そしてアメリカにとってハードルなぎ倒し男アレンジョンソン以来のこの種目金メダルとなりました。銀メダルもリチャードソンでこの種目のアメリカ復活が見られましたね。
男子200m準決勝では高平慎士、高瀬慧が残念ながら敗退してしまいました。しかし優勝候補はきっちりと残ってきています。
準決勝を観る限りウサインボルトとヨハンブレイクの二強で割って入る選手はいなそうです。三位はクリストフルメートルかウォーレススピアーモンでしょうか。
一応順位予想は一位ウサインボルト、二位ヨハンブレイク、三位クリストフルメートルにしておきます。一応去年の世界陸上の時は一位から三位までピタリ当ててますw。
男子やり投げ予選では期待のディーン元気が予選通過ラインの82mを二投目に越えて決勝進出!決勝でさらに記録を伸ばせればメダルにも手が届くかもしれません。一方村上幸史は記録を伸ばせず予選敗退。
また女子400mHは昨年の世界陸上を制したロシアのアンテュクがラシンダデュマスとの接線を制して五輪でも優勝。女子走り幅跳びではアメリカのブリトニーリースが優勝しました。
本日の見所
さて本日の見所です。
女子レスリングでは吉田沙保里と浜口京子が登場。吉田は知っての通り圧倒的な優勝候補本命。
今年に入って連勝がストップしてしまいましたが、当時は吉田の悪コンディション+相手の体重超過+団体戦での優勝が決定した後の消化試合という状況があったのであまり気にしなくていいでしょう。
むしろ一度負けたことでもう一度気持ちが引き締まったかもしれない。ポイントは相手のタックル返しをきちんと対策できるかどうか。
得意の高速タックルに加え、相手のタックル返しをも封じることができれば磐石でしょう。小原、伊調の流れに乗ってしっかり金メダルを獲得して欲しい。
一方浜口はやや厳しいか。昨年の世界選手権はメダルにも絡めない2回戦負け。毎年のように世界選手権を勝っていたのは2000年代初め頃。あれから十年経ってさすがに衰えは否めません。
実力ではおそらく五番手以下かもしれません。しかし34歳の浜口にとってこの五輪が引退試合になるでしょう。最後に金メダルをという精神的なモチベーションは誰よりも高いはず。番狂わせに期待したいですね。
女子サッカーはアメリカとの決勝!間違いなくフランス戦よりも厳しい戦いになるでしょう。ただアメリカは準決勝で延長までもつれ込み、カナダ相手に3失点を喫するなど穴もあります。
ここまで日本らしいサッカーが出来ない中でなんとか自信と経験で決勝までこぎつけた印象があります。
アメリカ相手に自分たちのサッカーをやるのも難しいかもしれませんが、しっかり走って確実な守備からパスを丁寧に繋いでアメリカを倒して欲しい!
女子バレーはブラジルとの準決勝。勝てば決勝進出で銀メダル以上が確定します。ブラジルの方が格上ですが、近年の直接対決を見る限り絶対に勝てない相手でもない。
ワールドカップでは3−0のストレート勝ちを収めるなど日本の調子や相手の調子など様々な要因が噛み合えば勝機はあるでしょう。もし勝てれば金メダルも見えてきます。東洋の魔女復活を見せて欲しい!
陸上ではなんといっても男子200mに注目!ウサインボルト対ヨハンブレイクの第二ラウンド。
男子800mも決勝。世界記録保持者のルディシャが初の五輪金メダルを目指します。対抗馬はやはりカキになるか。
昨年の世界陸上もルディシャが金、カキが銀。ルディシャが王者を守り世界陸上と五輪の二連覇を成し遂げるか、それともカキがリベンジを果たすのか注目です。
また女子の4×100リレー(4継)と男子の4×400リレー(マイルリレー)も予選が行われます。日本勢はどちらも決勝進出はやや難しいかなという気がしますが頑張って欲しい。個人的には女子高生スプリンターの土井杏奈ちゃんに注目。
その他男子10種競技の決着がつく他、男子三段跳びの決勝や女子やり投げの決勝も行われます。
昨日は金メダルを二つ獲得しているので、このいい流れそのままに吉田と女子サッカーでも金メダルを期待したいですね!
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