パラリンピック全22競技の見所と注目選手紹介

パラリンピック全22競技の見所と注目選手紹介

パラリンピックで行われる全22競技の見所と注目選手を解説していきます。

 

 

・アーチェリー

 

パラリンピックの原点であるストーク・マンデビル大会から実施されている由緒ある伝統競技です。

 

種目は重度障がいのW1クラスと軽度障がいのオープンクラスに分かれます。

 

弓はオリンピックと同じリカーブか滑車付きのコンパウンドを使用。

 

W1クラスはリカーブかコンパウンドのいずれかを自由選択。

 

オープンクラスはリカーブを使用するリカーブオープンとコンパウンドを使用するコンパウンドオープンに分かれます。

 

注目選手は男子リカーブオープンに出場する上山友裕。現在世界ランク5位でリオ五輪は7位入賞。メダルを狙える位置にいます。

 

女子リカーブオープンに出場する重定知佳は車いすテニスから転向した選手。

 

上山と重定で組んだ混合チームも2019年の世界選手権で8位に入賞しています。

 

 

・陸上競技

 

クラス分けは障がいの程度と競技スタイルによってアルファベット1文字と数字2桁で表されます。

 

トラック種目とマラソンのアルファベットはT、投てき種目のアルファベットはFとなっています。

 

トラック種目の注目選手は佐藤友祈。車いすのT52クラスで400mと1500mの世界記録を持っており、世界選手権は400mで3連覇、1500mで2連覇中。

 

前回大会は銀メダル2つに終わりましたが、今大会こそはということで金メダルを狙ってくるはずです。

 

また同じクラスには北京パラリンピックで金メダルを2個獲得した伊藤智也も出場。

 

佐藤と伊藤の二人で表彰台を目指します。

 

前回リオ大会で女子400mのT47クラスで銅メダルを獲得した辻沙絵は前回大会よりよい色のメダルを目指します。

 

視覚障がいT13クラスの女子400mでは佐々木真菜がメダル候補。2019年世界選手権では4位に入賞しており、今大会のメダルを目指します。

 

 

マラソンでは男女共に視覚障がいのT12クラスがメダル候補。

 

男子マラソンT12クラスの堀越信司は2019年世界選手権で銅メダルを獲得。

 

女子マラソンT12クラスの道下美里は前回リオ大会の銀メダリストで2019年世界選手権では金メダル獲得。今大会で悲願の金メダルを目指します。

 

 

フィールド種目では男子走り幅跳びT63クラス(大腿義足)に4大会連続出場となる山本篤がメダルを目指します。

 

男子走り幅跳びT64クラス(下腿義足)では5大会連続入賞を果たしている鈴木徹が世界記録保持者のマルクス・レームに挑みます。

 

女子走り幅跳びT63クラスの兎澤朋美は2019年世界選手権で銅メダルを獲得しています。

 

 

・バドミントン

 

今大会からの新競技となるバドミントン。

 

車いすで行うWH1、WH2のクラスと立位で行うSL3、SL4、SU5、SH6のクラスに分かれます。

 

注目選手はWH1クラスの里見紗李奈。2019年世界選手権では初出場にして初優勝を果たした若きエースで、シングルスと山崎悠麻と組むダブルスの2冠を狙っています。

 

女子シングルスSU5クラスの鈴木亜弥子も2017年世界選手権優勝、2019年世界選手権は準優勝と世界のトップを争う力があります。

 

 

・ボッチャ

 

パラリンピックにしか存在しないオリジナル競技のボッチャ。

 

コート上の目標球に対してお互いに自分のボールを投げ合い、規定球数を投げ終えた後に目標球に近い球を多く投げたチームに得点が入ります。

 

カーリングと同じようなイメージで観ればわかりやすいと思います。

 

クラス分けはBC1からBC4までの4種類。

 

日本はこの競技の強豪国でリオ大会はチーム戦で銀メダルを獲得。リオ大会の決勝で敗れたタイが最大のライバルです。

 

個人戦では3大会連続出場となるBC2クラス(脳性まひ)の杉村英孝に金メダルの期待がかかります。

 

 

・カヌー

 

前回リオ大会から新採用されたカヌー。

 

前回はカヤックだけでしたが、今大会から浮き具つきの艇であるヴァーという新種目が加わりました。

 

クラス分けはカヤック、ヴァーとそれぞれL1からL3まで分かれています。

 

注目選手は女子カヤックL1の瀬立モニカ。

 

前回リオ大会は8位入賞で、2019年世界選手権は5位入賞。

 

今大会でのメダル獲得を目指します。

 

 

・自転車競技

 

クラス分けはアルファベットと数字1桁。アルファベットは以下の4種類があります。

 

C・・・一般的な二輪を使用する1人乗り

 

B・・・視覚障がいの選手が後方に座る2人乗り

 

H・・・下肢障がいの選手が手で漕ぐハンドサイクル

 

T・・・二輪に乗ることが難しい選手が乗るトライシクル(三輪自転車)

 

このアルファベットと障がいの重さごとに数字が割り振られ、クラス分けがなされます。

 

注目選手は男子ロードタイムトライアルC3クラスの藤田征樹。

 

今大会で4大会連続出場となり北京大会は3種目で銀メダル2個と銅メダル1個、ロンドン大会は銅メダル、リオ大会は銀メダルを獲得。

 

今大会は悲願の金メダル獲得を目指します。

 

女子ロードレースC3クラスの杉浦佳子は2018年ロードレース世界選手権の優勝者。

 

この年には国際自転車競技連合のパラサイクリング賞を受賞しました。

 

 

・馬術

 

クラス分けはグレード1からグレード5までの5段階。数字が小さいほど障がいの程度が重い選手となります。

 

種目は規定演技を行う個人、4名で競う団体、個人の上位8選手が出場するフリースタイルがあります。

 

注目選手は元JRA騎手の高嶋活士や2018年世界選手権フリースタイル6位入賞の吉越奏詞。

 

また稲葉将、宮路満英と計4人でチームを組む団体戦でも上位を目指します。

 

 

・5人制サッカー

 

音が出るボールで行う視覚障がい者向けのサッカーでブラインドサッカーとも呼ばれます。

 

ゴールキーパーを除くフィールドプレイヤーは公平性を保つため、全員アイマスクをして試合を行います。

 

日本は開催国枠としてこの競技パラリンピック初出場となります。

 

強豪国はやはりサッカー王国ブラジル。ブラジルは初開催のアテネ大会から4連覇しています。

 

 

・ゴールボール

 

1チーム3人でチームを組み、アイマスクをして交互にボールを投げ合いゴールを狙う視覚障がい者向けスポーツです。

 

日本は女子がロンドン大会で金メダルを獲得。リオ大会は5位でしたが、今大会は再び金メダルを狙います。

 

女子のエースはロンドン大会から3大会連続出場となる欠端瑛子。回転ボールでゴールを狙います。

 

男子は若手主体のチームで上位進出を目指します。

 

 

・柔道

 

視覚障がい者のための競技で、ルールはオリンピックの柔道とほぼ同じ。

 

異なる点は最初からお互いに相手の襟、袖をつかみ合って組み合った状態からスタートします。

 

クラスは視力の程度によりB1からB3までありますが、クラス別に試合が行われるわけではなく、体重の階級別で行われます。

 

日本はパラリンピック柔道でも強豪国の一つ。

 

男子100kg超級の正木健人はロンドン大会金メダル、リオ大会銅メダルで今大会は再び金メダルを狙います。

 

女子57kg級の廣瀬順子はリオ大会で女子として初めての銅メダルを獲得し、2018年世界選手権では銀メダルと優勝候補の一人。

 

夫の廣瀬悠も男子90kg級に出場。2大会連続で夫婦揃っての出場となります。

 

 

・パワーリフティング

 

基本はオリンピックのウエイトリフティングとほぼ同じ。

 

パラリンピックでは下半身に障がいのある選手が上半身の力だけでバーベルを持ち上げるベンチプレス種目になります。

 

注目選手は男子49kg級の三浦浩。リオ大会で5位に入賞しています。

 

また男子72kg級の宇城元もアテネ大会8位、ロンドン大会7位のベテラン。今大会も上位を目指します。

 

 

・ボート

 

クラス分けは最も障がいの重い選手が出場するシングルスカルのPR1、中程度の障がいを持つ選手が出場するダブルスカルのPR2、最も障がいの軽いクラスの選手が出場する舵手つきフォアのPR3に分かれます。

 

パラリンピックは2008年北京大会から実施され、当時は1000mの距離でしたが、前回リオ大会からはオリンピックと同じ2000mで実施されるようになり、瞬発力より持久力の方が重要になりました。

 

日本勢と世界との差が大きい競技であり、これまでの大会は推薦枠で1人だけの出場に留まっていました。

 

今大会は2019年アジア選手権で2位に入った女子シングルスカルPR1の市川友美が地力で出場権を獲得。

 

上位進出を目指しています。

 

 

・射撃

 

クラス分けはまずライフルかピストルかに分かれ、ライフルは銃を構える姿勢で立射、伏射、三姿勢の3種類に種目が分かれます。

 

そしてライフルのクラス分けは下肢に障がいのあるSH1と上肢障がいで支持スタンドを使用するSH2に分かれます。

 

ピストルは全選手が同じSH1クラスとして出場します。

 

予選では全選手が一斉に並んで撃ち、上位8人が決勝へ進出。

 

日本勢はエアライフル伏射SH1の渡邊裕、エアライフル伏射SH2の水田光夏、エアピストルの佐々木大輔の3人が出場。

 

まずは上位8人が残れる決勝を目指します。

 

 

・シッティングバレーボール

 

下肢障がいの選手が座りながらプレーするバレーボールです。

 

ルールはオリンピックのバレーボールとほぼ同じで5セットマッチの3セット先取。

 

ラリーポイント制の1セット25点先取で最終セットのみ15点先取となります。

 

障がいの重さによってVS1とVS2の2つのクラスに分けられ、1チーム12人中、障がいの軽いVS2クラスの選手は2人まで、コート上では1人のみ出場することができます。

 

日本は男女共リオ大会での出場を逃し、今大会は開催国枠での出場。一つでも上の順位を目指します。

 

前回リオ大会優勝のイランには先天性先端巨大症を持つ身長246cmのモルテザ・メヘルザードがおり、スーパーエースとして連覇を狙っています。

 

 

・水泳

 

水泳は重度身体障がいのS1〜軽度身体障がいのS10、S11〜S13の視覚障がい、S14の知的障がいとクラス分けがされます。

 

泳法についてはオリンピックと同様の種目で争われますが、身体障がいで欠損がある場合は自分の体にあったオリジナル泳法を習得することが重要になります。

 

注目選手はこれまで金メダル15個、総メダル20個を獲得したパラ水泳のレジェンド成田真由美。

 

もう50歳になりましたが、一時引退後、リオ大会で復帰し、今大会も連続出場となります。

 

自由形や個人メドレーをメイン種目にしている鈴木孝幸は2019年世界選手権で5個のメダルを獲得。前回リオ大会は最高4位とメダルを逃しており、雪辱を狙います。

 

視覚障がいS11クラスの木村敬一は前回リオ大会で50m自由形と100mバタフライで銀メダルを獲得。今大会は悲願の金メダルを目指します。

 

知的障がいのS14クラスでは2019年世界選手権で東海林大が200m個人メドレーで、山口尚秀が100m平泳ぎでそれぞれ世界新記録で金メダルを獲得。

 

今大会でも金メダルが期待されます。

 

 

・卓球

 

クラス分けは車いすが障がいの重い1から軽い5まで。立位が障がいの重い6から軽い10まで。知的障がいのクラスが11となっています。

 

個人戦は1ゲーム11点先取で3ゲーム先取で勝利。

 

団体戦は1チーム2人もしくは3人で構成され、ダブルス1試合とシングルス2試合で2試合先勝したチームの勝利。

 

団体戦はクラスをまたいでの対戦もあり、ダブルスのコンビネーション次第では障がいの重いペアが軽いペアに勝つことも起こります。

 

注目選手は男子シングルスクラス9で世界ランキング3位の岩渕幸洋。2018年世界選手権でも銅メダルを獲得しており、得意の速攻で金メダルを目指します。

 

また女子シングルスクラス11の古川佳奈美はしゃがみこみサーブを使いこなし、2018年世界選手権で銅メダルを獲得しています。

 

 

・テコンドー

 

今大会からパラリンピックに新競技として加わったテコンドー。

 

パラスポーツとしての歴史も浅く、2009年に初めて世界選手権が開かれました。

 

世界選手権などではK41からK44までクラス分けされますが、今回のパラリンピックではK41とK42は実施されず、K43とK44が統合されてK44クラスのみが実施されることになりました。

 

またオリンピックと異なり、パラリンピックでは頭部への攻撃が禁止されています。

 

注目選手は男子75kg級の工藤俊介。2019年世界選手権で銅メダルを獲得しており、今大会もメダル候補です。

 

女子58kg超級の太田渉子は冬季パラリンピックのバイアスロンやクロスカントリースキーでメダルを獲得した経験があります。

 

2018年からパラテコンドーに転向し、今大会で夏冬メダル獲得を狙います。

 

 

・トライアスロン

 

前回リオ大会から採用されたパラトライアスロン。

 

クラス分けは座位のPTWCクラスが1から2、立位のPTSクラスが2から5、視覚障がいのPTVIクラスが1から3まで分かれています。

 

しかしパラリンピックでは座位、立位、視覚障がいは各クラス統合で争われ、障がいの重さに応じて補正時間のハンデがつけられます。

 

オリンピックと同様にスイム、バイク、ランの3種目合計タイムで争われますが、距離はそれぞれオリンピックの半分。

 

スイム0.75km、バイク20km、ラン5kmの合計25.75kmで争われます。

 

注目選手は男子PTS4クラスの宇田秀生。2019年グランドファイナル4位入賞、2021年アジア選手権優勝という実績を持ち、メダル候補の一人です。

 

男子PTWCクラスの木村潤平は世界ランキング4位の実力者。

 

女子PTS2クラスの秦由加子は前回リオ大会で6位入賞。元々は水泳のパラアスリートであり、得意のスイムでリードを取り、逃げ切る展開で表彰台を目指します。

 

 

・車いすバスケットボール

 

オリンピックで日本女子バスケチームが銀メダルの快挙を成し遂げたバスケットボールはパラリンピックでも迫力のある花形競技。

 

各選手は障がいの程度によって1.0から4.5までの8段階のクラスに分けられ、コート上の5人の合計点は14.0以内に収める必要があります。

 

1.0〜2.0の選手をローポインター、2.5〜3.5の選手をミドルポインター、4.0〜4.5の選手をハイポインターと呼びます。

 

日本男子は12大会連続出場になりますが、これまでメダル獲得はなし。

 

ブンデスリーガで活躍する日本で唯一のプロ車いすバスケットボール選手である香西宏昭を中心に悲願の初メダルを目指します。

 

日本女子は1984年のニューヨーク/ストークマン・デビル大会と2000年のシドニー大会で銅メダルの獲得経験があります。

 

出場は今大会は3大会ぶりの出場。3度目のメダル獲得を目指します。

 

 

・車いすフェンシング

 

ピストと呼ばれる装置に固定された車いすに座って戦う車いすフェンシング。

 

障がいの軽いカテゴリーAと重いカテゴリーBに分かれ、それぞれフルーレ、エペ、サーブルの各順位の合計で競います。

 

団体戦は1人以上カテゴリーBの選手を含む3人でチームを構成。

 

カテゴリーAとBの選手が対戦することもあり、Bの選手がAの選手に勝つような展開も起こることがあります。

 

注目選手は女子カテゴリーBの櫻井杏理。2019年W杯ではエペで2度の銅メダルを獲得しています。

 

また男子カテゴリーBの藤田道宣は京都の平安高校フェンシング部で太田雄貴の1学年後輩だった選手です。

 

 

・車いすラグビー

 

車いす同士をぶつけ合う「タックル」が認められる唯一のパラリンピック競技です。

 

その激しさから「マーダーボール(殺人球技)」という通称があり、2004年アテネ大会準決勝のアメリカ対カナダを描いた同名のドキュメンタリー映画も話題になりました。

 

各選手は0.5から3.5までの7段階のクラスに分けられ、コート上4人の合計点を8.0以内にする必要があります。

 

また男女混合で行われる競技でもあり、女子選手が1人入るごとにチーム上限点数が0.5ずつアップします。

 

基本的は障がいが軽いハイポインターが攻撃し、障がいが重いローポインターがディフェンスするのが基本戦術。

 

そんな中でローポインターがハイポインターの攻撃をストップし、ターンオーバーで得点を奪う局面が大きな盛り上がりポイントになります。

 

日本はこの競技の強豪国の一角で、リオ大会は銅メダルを獲得。

 

今大会は日本、オーストラリア、アメリカが3強と言われており、日本は池崎大輔、池透暢の通称イケイケのダブルエースを軸に金メダルを目指します。

 

 

・車いすテニス

 

日本でも認知度が高い車いすテニス。ルールは2バウンドまで返球が可能なこと以外は一般のテニスと同じです。

 

クラス分けは障がいの軽いクラスの選手が出場する通常の男女シングルス、ダブルスと障がいの重い選手が男女混合で試合をするクアード。

 

男子シングルスの国枝慎吾は世界ランキング1位で四大大会通算45回優勝。ジョコビッチやフェデラーからも尊敬される偉大な世界王者で、日本一有名なパラアスリートと言っても過言ではないでしょう。

 

女子シングルスの上地結衣も世界ランキング2位で前回リオ大会の銅メダリスト。2020年シーズンでは全豪と全仏とグランドスラムで2勝しており、今大会も金メダル候補です。

 

また女子シングルスでは世界ランキング5位の大谷桃子もおり、上地と二人揃って表彰台に登る可能性もあります。

 

クアードシングルスでは世界ランキング6位の菅野浩二に期待です。

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パラリンピックの開会式実は初めてちゃんと観るposted at 20:00:26そもそも私オリンピックの開会式すら今大会初めてちゃんと観ましたからね(基本的に競技しか興味ない人)posted at 20:27:36