2022年世界陸上オレゴン振り返り
2022年世界陸上オレゴンが終わりました。
前回の記事では男子20m競歩と男子100mを振り返りましたので、今回はそれ以降の主なトピックを振り返っていきます。
大会3日目の注目トピックは女子100mでした。
優勝したのは35歳にして未だ衰えの見られるジャマイカのシェリー・アンフレイザー・プライス。
東京五輪金メダルのエライン・トンプソン・ヒラは銅メダルで、同じジャマイカのセリカ・ジャクソンが銀メダル。
男子100mはアメリカがワンツースリーとなりましたが、女子はジャマイカのワンツースリーとなりました。
3日目と4日目に行われた男女マラソンは男子は鈴木健吾、女子は一山麻緒と新谷仁美がコロナ陽性という残念な事態に。
男子は西山雄介の13位が最高、女子は松田瑞生が日本勢ただ一人出場し健闘しましたが、9位と惜しくも入賞には届きませんでした。
男子で優勝したエチオピアのトラは2:05:36、女子で優勝したエチオピアのゲブレシラシエも2:18:11と共に大会記録。
気候にも恵まれましたが、特に女子は世界のレベルの高さを感じさせる高速レースとなりました。
大会4日目の男子200mは上山紘輝が20秒26という自己ベストを出して予選突破。
また飯塚翔太も突破しました。世界大会初出場の上山のこのタイムは次回以降も楽しみとなるタイムでした。
今大会は東京五輪に出場した山縣、桐生、多田らが不在で小池もコロナ陽性という中で100mの坂井や200mの上山と新たな選手が台頭してきたのは嬉しいことです。
大会5日目の注目トピックは男子400mハードルの決勝。
東京五輪で45秒台という驚異的な世界新記録を出して優勝し、世界陸上3連覇を狙ったワーホルムですがまさかの失速で7位。
ブラジルのドスサントスが優勝しました。
大会6日目では女子やり投げ予選で北口榛花が1投目から見事な投てきで予選1位通過。
入賞が目標ラインではありましたが、一気にメダルも現実味が帯びてきました。
そしてそれは2日後に現実になります。
大会7日目の注目トピックは男女の200m決勝。
先に行われた女子では100mと金銀が入れ替わり、ジャマイカのセリカ・ジャクソンが金メダルで、シェリー・アンフレイザー・プライスが銀メダル。
そして男子ではアメリカのノア・ライルズが19秒31という見事なアメリカ記録で優勝。
アトランタ五輪でマイケル・ジョンソンが出した19秒32というアメリカ記録をついに破りました。
大会8日目の注目トピックは4継の予選。
日本は坂井、鈴木、上山、柳田という4人。
小池がコロナ陽性、サニブラウンも100m後に調子を落としてメンバーに入れないという緊急事態でした。
全員が世界大会初出場というフレッシュなメンバーでしたが、さすがに世界は甘くなく、2から3へのバトンが失敗して失格。
しかし今回は経験を積むための大会だと考えれば今後に繋がる大会だったと言えるでしょう。
女子やり投げは今季ダイヤモンドリーグで日本人初優勝を成し遂げた北口榛花が最後の6投目にビッグスローを見せ、銅メダルに滑り込みました。
やり投げとしては2009年ベルリン大会の村上幸史以来、女子やり投げとしては五輪、世界陸上通じて初のメダル獲得となりました。
男子400m決勝では強かったマイケル・ノーマンが優勝。
そして復活してきたグラナダの英雄、キラニ・ジェームズが2位に入りました。
女子400m決勝ではバハマのショーナ・ミラー・ウイボが今季世界最高のタイムで圧勝しました。
そしてこの日のトリを飾る女子400mハードル決勝ではアメリカのマクローフリンが50秒68という驚異的な世界新記録を叩き出して優勝しました。
大会9日目の注目トピックは男子マイルリレー予選。
佐藤風雅、川端魁人、ウォルシュ・ジュリアン、中島佑気ジョセフという大学生が二人入った若いチームながら、予選でアメリカに続く2位、強豪のジャマイカも抑えて決勝進出を決めました。
2003年パリ大会以来19年ぶりの決勝進出でした。
4継の決勝は男女共に波乱。
男子は100m、200m共に金銀銅を独占したアメリカを抑えてアンカーのドグラスを擁するカナダが優勝。
女子も100mで金銀銅を独占したジャマイカを抑えてアメリカが優勝しました。
そして最終日の大会10日目はまず新種目の男子35km競歩の決勝。
東京五輪6位入賞の川野将虎が冷静に先頭集団についていき、最後はスタノとの一騎討ちに。
最後は東京五輪を制したスタノのスパートに振り切られましたが、それでも1秒差の銀メダル。
前回大会優勝者でエースの鈴木雄介の調子が戻らない中、見事に競歩大国となった日本の伝統を守ってくれました。
女子100mハードルでは準決勝から世界新記録が飛び出しました。
ナイジェリアのアムサンが全世界記録保持者のハリソンを抑えて12秒12という驚異的な世界新記録。
また日本の福部真子も12秒82と日本記録を更新しました。
そして決勝も勢いそのままにアムサンが金メダルを獲得。
惜しくも追い風参考で幻の世界記録となってしまいましたが12秒06とまたもや驚異的なタイムでの優勝でした。
男子5000m決勝は本職の1500mで銀メダルと敗れたノルウェーのインゲブリクセンが5000mでリベンジとなる金メダル。
男子棒高跳びの決勝ではスウェーデンのデュプランティスが6m21cmという世界新記録に挑戦して見事に成功。
フィールドの最終種目として最後に会場を盛り上げました。
男子マイルリレーでは日本は惜しくもメダルに届かず4位。
しかし強豪のジャマイカやボルリー兄弟擁するベルギーと1秒も差が無い、2:59.51という日本記録でした。
かつてアトランタ五輪のマイルリレーで4位という成績がありましたが、それ以来の4位。
あと一歩でメダルまで手が届くというところは以前も経験があります。
思えば4継も競歩も初のメダルまでは中々手が届きそうで届かないという時代が長く続きました。
これを4継のようにメダルの常連というところまで持って行けるかどうかはこれからのあと一歩の伸びにかかっています。
そして今大会は25年と四半世紀に渡りキャスターを務めてきた織田裕二さん、中井美穂さんが卒業となる最後の世界陸上となりました。
サニブラウンの歴史的な100m決勝進出や競歩でのメダルラッシュ、北口榛花の女子初となるやり投げのメダル、そして海外勢も驚異的な世界新記録が続出し、陸上競技の魅力が詰まった素晴らしい大会になったと思います。
陸上競技の魅力を長年に渡って伝え続けてきてくれて本当にありがとうございました!
世界陸上は来年のブダペスト、そして2025年の東京大会へと続いていきます!
まだまだ今後の世界陸上を楽しみに日々を過ごしていきましょう!


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- 2022年世界陸上オレゴンタイムテーブル(日本時間)
- 世界陸上オレゴンのタイムテーブルを日本時間に直しました。大会直前に見所等は別途記事にしたいと思っておりますが、取り急ぎスケジュールだけご紹介致します。