MGC女子レースの結果考察。メダルの期待が高まった前田穂南
東京五輪代表を決めるMGCが終了したので、本日は女子のレースを振り返る。
男子の出場選手が30人に対して女子が10人と少人数だったこと、男子の方が先にスタートしたこと、近年の箱根駅伝人気など様々な要素から、今大会はどちらかというと男子に注目が集まっていた。
しかしレースのレベルとしては女子の方がレベルが高かったということをまずお伝えしておきたい。
序盤レースを動かしたのは最も若い一山麻緒だった。
まさに男子の設楽悠太と同じように冬のマラソンと同じようなハイペースで飛び出した。
しかし男子と違ったのは一山の独走を許さなかった点。
野上恵子と松田瑞生の二人は着いていかなかったが、それ以外の8選手は一山のハイペースに乗っかった。
それにより女子のレースは男子とは違い壮絶なハイペースの叩き合いとなった。
2時間22分台を2度出している大本命の松田瑞生ですら着いていかないことを選択するハイペース。
一山の作ったペースは10km過ぎに前田穂南が引き継ぎ、依然ハイペースのまま1人、また1人と脱落していく。
最初にハイペースに乗らなかった松田瑞生と野上恵子の二人が最終的に追い上げて4位、5位になったことからも他の選手にとっては速すぎるペースだったことが伺い知れる。
最後まで押し切った前田穂南
前田穂南がハイペースで引っ張り、他の選手が徐々にこぼれ落ちていくという展開。
そしてハーフを迎えた時点ではすでに前田穂南の一人旅になっていた。
前田穂南は「仕掛けたわけではなく気付いたら他の選手が離れていた」と語っていた。
自分のペースで淡々と押して、他の選手を全て振り落とすというのは言うなれば横綱相撲。
今日のこのレースで頭一つ抜けた実力であることを証明してみせた。
最後までペースは衰えることなく、2時間25分15秒という夏マラソンとしてはかなりハイレベルなタイムで優勝。
2位の鈴木亜由子に約4分差をつける圧勝であった。
これは五輪本番でもメダルが十分視野に入るタイム。
今回暑さ耐性を見せたことと五輪本番コースを一度経験できたアドバンテージを考えると、持ちタイムで上を行くケニア勢、エチオピア勢とも勝負ができるかもしれないという期待を抱かせる結果であった。
ファイナルチャレンジに挑む選手達
2位には本命視されていた鈴木亜由子が入り内定。
そしてこれから3枠目を目指すファイナルチャレンジが始まる。
女子の派遣設定記録は2時間22分22秒。
コース的には大阪国際女子マラソンか名古屋ウィメンズマラソンならば十分狙える記録である。
男子よりクリアする可能性は高いと思われる。
最有力はやはり今回本命視されていた松田瑞生。
そして一山麻緒や今回は怪我で欠場した関根花観も若さと勢いで一気に記録を伸ばす可能性もある。
2時間21分36秒の自己ベストを持つ安藤友香もチャンスがあるだろう。
今回3位だった小原玲はどのような気持ちで見守るだろうか。
小原玲はリオ五輪の選考レースで1秒差で敗れ代表を逃している。
そして今回のMGCは4秒届かずに3位。
小原はスピードランナーではないので2時間22分22秒をクリアするのは厳しいと見られるので、おそらく回避して結果を待つことになるだろうと私は予想している。
誰かが派遣設定記録を塗り替えてラストチャンスを掴むのか。
それとも秒差で涙を呑んできた小原が夢の五輪切符を掴むのか。
女子も最後の1枠を賭けたドラマがまだまだありそうだ。
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