2019年世界柔道振り返り1
世界柔道東京が閉幕した。
今大会の振り返りや今後の東京五輪代表争いの展望などをまとめていきたい。
まずは男子60kg級、女子48kg級から振り返っていく。
チャンスを活かせなかった高藤、永山
男子60kg級では永山竜樹が銅メダルで高藤直寿が5位と金メダルを狙える階級だっただけにやや残念な結果となった。
世界選手権で連覇していた高藤は3連覇を狙ったが、今大会は動きが悪かった。
3回戦でアウトサイダーのジュマエフ相手に技有りを取られるなど苦戦し、ルトフィラエフ相手に一本負けを喫した。
一方永山は絶好調。3回戦でキムウォンジン、準々決勝でスメトフを破りベスト4まで進んだ。
この時点で高藤を始めパピナシビリやウロズボエフ、ダシュダバーといった強豪選手が敗れており、組み合わせ的には永山が金メダルを取れる流れだった。
しかし準決勝でチフヴィミアニ相手に延長の末に技有りを取られて敗戦。
終始永山が優勢に試合を進めていただけにチャンスを逃してしまったという印象が強い。
これにより敗者復活戦を勝ち上がった高藤と準決勝で敗れた永山が3位決定戦で直接対決。
高藤が技有りをリードするも、試合終了間際に永山が逆転した。
これははっきり言って高藤の詰めの甘さと言っていい。
高藤も永山もどちらも一番大事な勝負所で勝てなかったという印象を残してしまった。
東京五輪代表はシンプルに言えば東京五輪決勝という一番の勝負所で勝てる選手を選ぶべきなのに、どちらも決定打に欠けることになってしまった。
代表争いは高藤がリードしていたが今大会で永山が追いつき、横並びになったと言っていいだろう。
絶対女王に挑んだ渡名喜風南
この日の渡名喜は絶好調で3回戦でチェルノヴィツキ、準々決勝でクレモン、準決勝でクラスニキをいずれも一本で破り決勝へ進んだ。
一方絶対女王のビロディドも強さを見せて勝ち上がる。
特に元同国のガルバドラフを締め落として勝ち上がるなど絶好調だったムンフバットを準決勝で三角締めで破るなど圧巻の勝ち上がり。
ムンフバットは寝技のスペシャリストでありビロディドに勝つなら寝技しかない。そしてこの日の調子の良さならそのチャンスはあると思われていた。
しかしムンフバットがどうやって寝技に持つ込むかという視点で観ていたら、逆に寝技に引き込まれて成すすべなく敗れた。
この準決勝は衝撃的な結果だった。
決勝では渡名喜対ビロディド。渡名喜がビロディド対策をしっかり組んでいたことは伺いしれたが、一瞬の隙から技有りを奪われてしまう。
その後前に出て指導2を与えるところまで追い込むが、あと一歩が遠かった。
勝てるチャンスはあり、紙一重の差ではあったが、その紙一重が物凄く分厚く感じるような結果だった。
この階級の五輪代表は渡名喜でほぼ決まりだと思われるが、結局ビロディドにどう勝つかという課題を解決しない限り、東京五輪での金メダルはない。
正直ビロディドは強すぎる。身長とリーチの差で立ち技ではどうしても分が悪いので寝技に活路を見出せればと思っていたが、渡名喜やムンフバット相手でも寝技で優勢だったのでちょっと手が付けられない。
ただ渡名喜が明確にビロディドに対して上回っている点がある。それはスタミナである。
長身のビロディドは減量もきつく、後半にスタミナが切れる傾向にある。
つまり渡名喜の勝ち筋は延長に持ち込んでの粘り勝ち。
4分の試合時間の中で絶対に技のポイントを取られてはいけない。
粘って延長に持ち込み、指導勝ちや相手が疲れてから技で決めに行くという戦い方が必要になるだろう。
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