2021年柔道グランドスラムバクー 結果まとめ
柔道の国際大会、グランドスラムバクーが行われましたので結果をまとめます。
東京五輪、グランドスラムパリの後ということもあり、グランドスラムにしては面子はやや弱め。
日本も実質国内3番手クラスの代表を送り込みましたが、その中でも今後に期待の持てる階級がいくつもありました。
・男子60kg級
近藤隼斗 3位
国士舘大2年、20歳の近藤が3位に入りました。
国内では上に高藤、永山、古賀玄暉がおりパリ五輪までの道のりは険しいですが、準決勝ではロシアの新エース候補、オグゾフに敗れるも、3位決定戦はきっちり勝ち上がり、期待の持てる表彰台となりました。
・男子66kg級
田中龍馬 3位
相田勇司 5位
大学生の二人を送り込んだ66kg級は3位と5位という結果。
田中はこの階級のロシアのエース、シャミロフに勝利するなど上々の結果。
準決勝でデニス・ヴィエルに敗れたのはさすがに分が悪かったか。
相田も東京オリンピック決勝で阿部一二三に敗れて銀メダルだったマルグヴェラシヴィリに勝ったのはお見事。
3位決定戦は田中と相田の直接対決となり、田中に軍配が上がりました。
田中はグランドスラムパリの優勝に続く表彰台です。世界ランキングも29位まで上げてきました。
・男子73kg級
大吉賢 2位
塚本綾 2回戦敗退
大野に続く新エースの台頭が期待されるこの階級。
グランドスラムパリでは原田健士が優勝しており、大吉賢もそれに続きたいところでした。
2回戦ではリオ五輪銀メダリストのオルジョフを撃破。
決勝ではロシアのマフマドベコフに敗れたものの価値ある2位と言えるでしょう。
塚本は東京オリンピック準決勝で大野将平を苦しめたツェンドオチルに敗れて2回戦敗退。
地力の差を見せられる結果となりました。
・男子81kg級
友清光 7位
賀持喜道 2回戦敗退
永瀬貴規、佐々木健志、藤原崇太郎を擁する国内激戦階級の81kg級では今大会好成績を残せず。
グランドスラムパリでは佐々木が凄まじい強さで優勝しており、現時点ではパリ五輪に一番近いのは佐々木という評価は変わりません。
・男子90kg級
増山香補 優勝
田嶋剛希 5位
22歳の若手、増山が見事に優勝。
この階級は向翔一カ、長澤憲大、村尾三四郎がいる大激戦階級ですが、さらにもう一人パリ五輪を目指す候補に増山が名乗りを挙げました。
準決勝で世界トップクラスの強豪、ジョージアのエース格のグヴィニアシヴィリを破ったのは見事。
決勝でも地元アゼルバイジャンのエース、メフディエフを破って優勝しています。
グヴィニアシヴィリ戦、メフディエフ戦と共にゴールデンスコアでの指導勝ちと渋い戦いぶりが印象的でした。
また田嶋は増山に敗れたメフディエフ、グヴィニアシヴィリに敗れて5位となっています。
・男子100kg級
飯田健太郎 3位
グランドスラムパリでは2回戦敗退に終わった飯田。
今大会結果を残して挽回したいところですが、最低ラインとも言える表彰台は確保しました。
しかし世界ランキング上位の強敵とは戦っておらず、本当に最低限のライン。
ウルフアロンが実践復帰してくる前にもっと存在感を見せたいところです。
・男子100kg超級
斉藤立 優勝
オリンピック2連覇の故・斉藤仁氏を父に持つ斉藤立が初のシニア国際大会でいきなり優勝。
地元アゼルバイジャンのコカウリ、タジキスタンのラヒモフと世界ランク上位選手に対しても一本で勝利しており、準決勝では寝技で勝利。
立って良し、寝て良しという圧巻の強さを見せました。
オリンピックでは原沢が5位と不完全燃焼に終わり、グランドスラムパリでも佐藤和哉、小川雄勢が揃って2回戦敗退。
日本最重量級の救世主になる可能性もあります。一気にパリ五輪を視界に捉えることができた大会と言えるでしょう。
・女子48kg級
立川莉奈 優勝
この階級は東京オリンピック銀メダリストの渡名喜風南、今年の世界選手権を制した角田夏実、グランドスラムパリを制した古賀若菜がいる大激戦階級。
そんな中、さらに立川莉奈がパリ五輪代表争いの一人に名乗りを挙げました。
ただ今大会は世界のトップ10クラスとは当たっておらず、真価が問われるのはこれからでしょう。
・女子52kg級
坪根菜々子 1回戦敗退
グランドスラムパリの武田亮子の2回戦敗退に続き、今大会も坪根が1回戦敗退と奮わず。
とはいえ負けた相手が階級を上げてきた東京オリンピック女子48kg級金メダリストのクラスニキとあっては相手が悪かったか。
この階級は引き続き阿部詩1強が続きそうです。
・女子57kg級
玉置桃 優勝
柴田理帆 1回戦敗退
今年の世界選手権銀メダリストの玉置が貫禄の優勝。
今大会のレベルを考えると玉置は優勝して当たり前という実力。
初戦こそ苦戦したものの、その後は危なげなく勝ち上がりました。
これで玉置は世界ランキング3位まで上昇。
玉置と東京オリンピック銅メダリストの芳田司、グランドスラムパリ優勝の舟久保遥香の3人がこの階級を動かしていくでしょう。
・女子63kg級
堀川恵 3位
結婚して堀川姓に変わった旧姓:津金恵が銅メダルを獲得。
とはいえ齢26歳とベテランの域に差し掛かっている堀川がパリ五輪を視界に捉えるにはもう一伸びが必要でしょう。
この階級はオリンピックで田代未来が2大会連続でメダルを逃しており、日本女子の中では薄い階級。
現状でパリ五輪に一番近いのは鍋倉那美だと思われますが、さらなる若手の台頭に期待したい階級です。
・女子70kg級
寺田宇多菜 優勝
東京オリンピック金メダリストの新井千鶴が引退し、新戦力の台頭が望まれるこの階級で22歳と若い寺田が見事に優勝。
とはいえこの階級は世界のトップ級が出場しておらず、対戦相手を考えるとグランドスラムパリを制した新添左季の方が価値は高いか。
しかし若い選手の台頭というのは楽しみが増えました。
今後は新添と寺田がこの階級を引っ張っていくことになるのでしょうか。
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