2009年親善試合 日本代表対オランダ代表戦の考察

2009年親善試合 日本代表対オランダ代表戦の考察

オランダ代表戦は3−0の負け。1点取られるまでは互角以上の戦いをしていたので残念ですね。試合内容から見る限り日本とオランダとの差はそれほど大きくない。選手個々の差も思っていたほど離れてはいない。

 

例えばアリエンロッベンと内田篤人のマッチアップもそこまで差があるものではなかった。内田のサッカー選手としての実力が10だとしたらロッベンは11というくらいの差だったように思えます。

 

そんな日本代表が前半は豊富な運動量を活かしたプレッシングサッカーで互角以上の戦いを見せた。力の差は10と11で負けていても相手の1,1倍走ることによって11対11にすることができたんじゃないかという印象を受けました。

 

 

しかし自分達の限界近い力を出し続けていた日本代表と上手く力をセーブしていたオランダ代表との間に形成されていたギリギリの均衡状態が失点によって一気に崩れてしまった。

 

その結果が3−0という結果であり60分間は互角でも残りの30分で圧倒されてしまっては意味がないと思います。

 

結局は日本の一瞬の集中の切れを見逃さずに決めたオランダ代表は力があったし決定的チャンスが数回あった前半に先制できなかった日本代表には力が無かったということ。

 

冒頭でそこまで力の差はないと書きましたがそれでもやはりオランダ代表と日本代表の間には埋め難い差があったのです。

 

 

収穫と課題

 

ただ前半のサッカーをやれれば世界に通用することはわかりました。そしてペース配分と決定力という二つの課題も見えてきました。

 

岡田監督は前半のサッカーを90分できるようにならないということを言っていましたが自分はそれよりもペース配分を上手くして欲しいと思いました。

 

90分全力で走りきれる選手なんてほとんどいません。それを求めるよりも走る時は走る、ゲームを落ち着かせる時は落ち着かせる、というゲームの流れを読む力を鍛えて欲しい。

 

 

無駄走りを無くしてここぞというところだけチーム全体が連動してプレスをかけるなり攻撃に転じたりすれば常に全力で走らずとも自ずと90分間理想のサッカーができると思うんです。

 

そのための「行く時、行かない時」というチーム全体の意思疎通をしっかりできればゲーム運びも上手くなると思うんですね。

 

 

そして何より決定力。10の日本代表と11のオランダ代表の間に存在する1の差はやはりここじゃないでしょうか。小さいように見えて決定的な差でもあります。

 

私は常に「決めれる時に決めておかないと後で痛い目を見る」ということを書いてきました。この試合の日本代表がまさにそうだった。前半決めれる時に決めておかなかったから後半痛い目を見た。

 

 

前半の岡崎慎司や玉田圭司のチャンスはオランダ代表だったらどちらかは決めていたかもしれない。「オランダ相手に決定機を作れる」というところまではきました。アジア相手でも決定機さえ作れなかった頃に比べたら成長はしています。後は決めるだけ。

 

簡単ではないと思いますがまずはシュートを打たなければ始まらないので「コースが見えたらうつ」、「枠に入れる」ということをしっかり意識付けて貰いたいと思います。

 

 

どんなにいい試合をしても結果が全て

 

といってもこの二つの課題は常に言われていることなんですよねーw。多分ドイツW杯の時の私の記事を見返してみても似たようなこと書かれてると思いますよw。そう考えてみると逆にまったく成長していないのではないかということも思えてしまうw。

 

「ベスト4」、「世界を驚かそう」というキーワードを岡田監督は使っています。確かに試合開始から60分までは現地の観客も「日本代表って結構やるじゃん」と驚いていたでしょう。

 

 

しかし結局は3−0。世界に数億人いるサッカーファンは「まあ順当だな」としか思わないでしょう。驚きの欠片もない。

 

どんないい試合をしたとしても結果が全て。相手がオランダ代表だから仕方ないなんて言ってられない。もしこの試合がW杯本番でベスト4を賭けた戦いだったら?当然相手がオランダ代表だろうと勝たなければならなかったのですから。

 

 

 

 

 

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