2022年レスリング世界選手権 結果まとめ

2022年レスリング世界選手権 結果まとめ

2022年のレスリングの世界選手権が終了しました。

 

日本勢の結果をお伝えします。

 

・男子グレコローマン

 

55kg級 塩谷優 銅メダル
60kg級 文田健一郎 銅メダル
63kg級 池田龍斗 1回戦敗退
67kg級 遠藤功章 2回戦敗退
72kg級 堀江耐志 1回戦敗退
77kg級 屋比久翔平 3回戦敗退
82kg級 岡嶋勇也 2回戦敗退
87kg級 角雅人 1回戦敗退
97kg級 鶴田峻大 1回戦敗退
130kg級 園田新 1回戦敗退

 

男子グレコローマンは銅メダル2つという結果に終わりました。

 

金メダルを狙っていた文田は準決勝でブルガリアのナザリアンに敗戦。

 

スコアは5-5でしたがビッグポイントの差で敗れました。

 

文田のチャレンジは認められず、相手のチャレンジは認められるという判定の不利もあり悔しい敗戦でした。

 

東京五輪銅メダルの屋比久は3回戦敗退でメダルに届かず。

 

東京五輪の3位決定戦で見せたような豪快な投げを決めて一時同点に追い付くシーンもありましたが、惜しくも5-6という僅差で中国のリウ・ルイに敗れてしまいました。

 

 

・男子フリースタイル

 

57kg級 長谷川敏裕 3回戦敗退
61kg級 樋口黎 金メダル
65kg級 山口海輝 2回戦敗退
70kg級 成國大志 金メダル
74kg級 高谷大地 3回戦敗退
79kg級 橋夢大 3回戦敗退
86kg級 白井勝太 2回戦敗退
92kg級 高谷惣亮 2回戦敗退
97kg級 石黒峻士 1回戦敗退
125kg級 山本泰輝 1回戦敗退

 

前回世界選手権では銅メダル1つという結果に終わった日本でしたが、今大会は躍進。

 

樋口と成國の二人が金メダルを獲得と好成績を残しました。

 

リオ五輪の57kg級で銀メダルを獲得するも東京五輪は減量失敗で代表を逃した樋口。

 

今大会は1階級上の非五輪階級で出場し、4試合中3試合でテクニカルフォール勝ち、決勝も10-0で圧勝と文句のつけようのない結果でした。

 

おそらく樋口にとっては今の階級がベストの階級だと思いますが、61kg級はオリンピックでは非実施階級。

 

パリ五輪へは再び減量と戦いながら57kg級で目指すことになるはずです。

 

57kg級には東京五輪代表の高橋侑希や今大会代表の長谷川敏裕もいます。果たして代表の行方はどうなるのでしょうか。

 

70kg級の成國大志は今大会世界選手権初出場で初優勝。日本レスリング界にニューヒーローが誕生しました。

 

3回戦では2020年アジア選手権優勝のベクムラトフ(ウズベキスタン)に快勝。

 

決勝でも全米学生選手権3度優勝のゼイン・レザフォードに10-0で圧勝し、一気に頂点まで駆け上がりました。

 

70kg級は非五輪階級のため、前後の階級でパリ五輪を目指すのかと思いきや、成國は大会後にグレコローマンで来年の世界選手権優勝を目指すと宣言。

 

フリースタイルとグレコローマンの二刀流など私は今まで聞いたことがありません。

 

両種目で世界選手権優勝ということをもし成し遂げたらもちろん史上初のことでしょう。

 

レスリング界にも歴史を変える二刀流選手が現れるか注目しましょう。

 

 

・女子フリースタイル

 

50kg級 須ア優衣 金メダル
55kg級 志土地真優 金メダル
57kg級 櫻井つぐみ 金メダル
59kg級 元木咲良 銅メダル
62kg級 尾ア野乃香 金メダル
65kg級 森川美和 金メダル
68kg級 石井亜海 銀メダル
72kg級 古市雅子 銅メダル
76kg級 鏡優翔 銅メダル

 

女子は全階級でメダル獲得と相変わらず日本勢の強さを世界に見せつけました。

 

50kg級の須崎は圧巻。東京五輪以来の国際大会復帰でしたが勝ち上がりは以下の通り。

 

2回戦 ○[Tフォール、0:41=10-0]Nguyen, Thi Xuan(ベトナム)
3回戦 ○[Tフォール、0:30=10-0]Lukasiak, Anna(ポーランド)
準決勝 ○[フォール、2:24=8-0]Genesis, Miesinnei Mercy(ナイジェリア)
決 勝 ○[フォール、1:23=4-0]Dolgorjav, Otgonjargal(モンゴル)

 

全試合フォールかテクニカルフォールでかつ無失点、試合時間もトータルで5分程度と東京五輪に続き圧勝劇を見せてくれました。

 

50kg級には前回大会で優勝した吉元玲美那もいますが、須崎の実力は頭一つ抜けています。

 

55kg級の志土地真優も東京五輪で金メダルを獲得後、結婚して志土地姓になってから初の国際大会でしたが変わらぬ強さを見せました。

 

志土地も全5試合で無失点優勝。しかし55kg級は自身が東京五輪で金メダルを獲得した53kg級より1階級上の非五輪階級。

 

なぜかというと53kg級には今大会怪我で欠場したものの公式戦103連勝中と無敵の強さを誇る藤波朱理がいるからです。

 

志土地がこの後パリ五輪に向けて53kg級に戻すなら、いよいよ藤波対志土地という頂上決戦が国内大会で繰り広げられることになるでしょう。

 

その志土地に押し出されるような形で1階級上の57kg級に出場した櫻井つぐみも昨年の55kg級に続き、世界選手権を連覇しました。

 

決勝ではリオ五輪決勝で吉田沙保里を破ったマルーリスを撃破し、強さを示しました。

 

この階級はオリンピック2連覇中の金城梨紗子(旧姓川井)や昨年世界選手権銅メダルの南條早映がいる激戦区で激しい代表争いが予想されます。

 

62kg級は前回銅メダルの尾ア野乃香が昨年のリベンジを果たす金メダルを獲得。

 

準決勝では昨年の世界選手権で敗れたキルギスのチベニコワに勝利し、勢いそのままに決勝も昨年準優勝のコリン・ミラクル(アメリカ)を相手に10-0のテクニカルフォールと圧勝しました。

 

今大会は東京五輪金メダリストの川井友香子を破って代表を掴み、期待通り金メダルを獲得した尾ア。

 

このままパリ五輪まで駆け上がるのでしょうか。

 

65kg級の森川美和も昨年銀メダルの悔しさを晴らす金メダルを獲得。

 

3試合2-0、3-0、2-0とロースコア決着でしたが鉄壁のディフェンスと勝負強さで勝ち上がりました。

 

65kg級は非五輪階級のため、森川にとってはステップアップの階級です。

 

昨年の世界選手権決勝で敗れたモルドバのイリナ・リンガシは一足先に68kg級へと上げました。

 

そして68kg級は国内にも今大会銀メダルの石井亜海や昨年選手権銀メダルの宮道りんもいます。

 

この先の代表争い、そしてパリ五輪の金メダル争いはどうなっていくのでしょうか。

 

その68kg級で金メダルを獲得したのは今大会決勝で石井を破った東京五輪金メダリストのタミラ・メンサ・ストック。

 

パリ五輪でも最大のライバルとなるでしょう。

 

前回72kg級で金メダルを獲得した古市雅子は今大会惜しくも銅メダル。

 

そして五輪実施階級である最重量級の76kg級では鏡優翔が銅メダルを獲得しました。

 

昨年世界選手権では76kg級だけ日本女子で唯一メダルを逃すなど最重量級では苦戦が続いていましたが、大学生の鏡優翔が初出場で銅メダルを獲得。

 

パリ五輪に向けて期待の若手が台頭してきました。今後の活躍にも注目です。

 

 

 

 

 

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