コラム〜アテネへ続く道 U−22進化のベクトル〜

コラム〜アテネへ続く道 U−22進化のベクトル〜

今回のテーマはアテネを目指すU−22世代の進化のベクトル(方向性)。今月一日に行われたコスタリカ戦。

 

結果は1−1でしたがこれを「強豪コスタリカ相手に引き分けた価値ある試合」と取るか「セットプレーからの一点のみ、しまいにはミスから失点と課題が山積となった引き分け」ととるか見解がわかれると思います。

 

 

しかしどちらにも言える事は厳しいアジア予選にむけて今以上にチームの完成度を高めなければならないという事。それがチームの進化でありその進化がうまくいけばアテネは近づく事は言うまでもないでしょう。

 

そこでどのようにチームを進化させるか?という事が重要になってきます。自分はベクトルの方向が正反対であり、また二通りの道があると思ってます。一つは固める。そしてもう一つは改革。

 

 

固める方法

 

ひとつ目の固めるという方法はひとまずコスタリカ戦を一応の完成系としてそれを軸にしてチームを完成させていく方法。コスタリカ戦は

 

    中山  大久保
  根本  松井  石川
   森崎和  阿部
   角田 青木  三田
       林

 

という3−5−2システム。アジア大会でも戦っていたフォーメーションで既に馴染んでいるだろうフォーメーションです。これを基盤にしてユース世代やその他のリザーブメンバーを加えていってチームとして確固たるものにしていく。

 

これが一つ目の固めるという方法。大幅にチームを変える事はないのでリスクは0に近く確実な進化が見込まれます。ノーリスクローリターンというところでしょうか。

 

 

改革という方向

 

そして二つ目の改革という進化のベクトル。これはチームに大幅な変更を加えて一気にチーム力を倍増しようとする強化作戦。しかし一度出来たチームをある程度壊してしまうわけでもあります。

 

ボロボロになる心配は少ないでしょうがもし改革が成功しなかった場合地に足がついてない状態でアジア予選をむかえなければならないのです。こちらはミドルリスクハイリターンといった所でしょうか。

 

 

ただ私はあえて後者の改革を強く推したい。ひとつ目の方法なら確かにチームはしっかりする。アジア予選を突破する確率も堅実に上がっていくでしょう。

 

しかし本番を見据えた場合はどうか?黄金世代と言われ中田英寿、中村俊輔、稲本潤一、高原直泰ら今のA代表の主軸を担っているメンバーが揃ったシドニー五輪でさえベスト8止まり。

 

そして今のアテネ世代は確かにポテンシャルを備えているが実力ではまだ当時のシドニー世代には劣っているというのが私の見方。アジア予選だけを見据えていては本番で惨敗しそうな予感がするのです。

 

 

なので個々のポテンシャルを最大に引き出すために今のうちからチーム改革を推し進めてほしい。

 

そしてもう一つ。ケガで離脱していたチームのエース山瀬功治と抜群の運動量、ドリブル、ミドルシュートを誇る田中隼磨の存在です。

 

今のままだと右SBのスペシャリストである田中隼の居場所がなく、また山瀬、松井というチームの中心となるこの二人のポジションがかぶってしまうのです。この二人を生かさないのはあまりにももったいない。

 

なのでこの二人を起用した上で他の選手のポテンシャルを最大限に発揮させるフォーメーション。私は考えました。そしてこういう結論が導かれました。以下に示します。

 

     前田
  大久保  松井
     山瀬
   阿部  鈴木
三田        田中隼
   角田  池田
     黒河

 

という4−3−3(2シャドー)の攻撃的フォーメーション。実質1トップ2シャドーとなるため1トップはポストのうまい前田遼一を選択。前田はポストプレーに専念して1,5列目の松井、大久保に点を取らせるフォーメーションにするのです。

 

松井をシャドーで使えるため山瀬を司令塔の位置に。そしてSBからのサイドアタックも狙える、というフォーメーション。

 

今のフォーメーションだとリベロに本職はボランチの青木剛を置く事は守備面で不安だし青木が攻撃参加した時は実質2バックになってしまうという脆さを抱えています。ならばいっそのことこっちのが安心なんじゃないでしょうか?

 

このフォーメーションがうまくいくかはわかりません。が、是非ともチャレンジしてほしいですね。このフォーメーションがうまくフィットしたら世界でも戦えるはずです!

 

 

 

 

 

関連ページ

アテネ五輪最終予選の考察
見事に本大会出場を決めたU−23日本代表!今回はその五輪最終予選の総括でも。まずUAEラウンドから順を追って行きましょう。UAEラウンドはいきなりバーレーンと引き分け。その後レバノンに勝ち前半戦天王山のUAE戦に勝利しました。特に最後のUAE戦が大きかったですね!
アジア大会決勝 日本対イラン戦の考察
遂にアジア大会も決勝戦。決勝の相手は準決勝で韓国を破った前回大会王者の強豪イランです。 前半は日本ペースで進みましたが0−0で後半に折り返し。そして後半。ここで的確な守備を見せていたボランチの鈴木に代わりCBの青木を投入。
アジア大会 日本対ウズベキスタン戦の考察
遂に予選リーグ最終戦のウズベキスタン戦が行われました!今まで二連勝できただけあって引き分けでも予選一位通過が決まるこの試合。この試合の課題は負けないこと。実力が同じくらいの相手に対して1−0の勝ちや引き分けを確実に取る戦いをできるのかがポイントでした。
アジア大会 日本対バーレーン戦の考察
数日前に日本対バーレーン戦が行われました。結果は日本が5−2で勝ち!この試合はいい点も悪い点も全てが浮き彫りになった試合といえるでしょう。 前半は圧倒的に日本ペース。パレスチナ戦で活躍した石川が先発して数多くのチャンスを作り1トップ2シャドーという実質3トップとも言える三人、中山、松井、大久保がそれぞれ一点、一点、二点ずつ決めて4−0と大きく突き放しました。
アジア大会 日本対パレスチナ戦の考察
先日開会式より先にいち早くアジア大会サッカーが始まりました。日本はパレスチナ相手に2−0で勝利!しかし内容には疑問符がつく試合でした。 まず確実に格下なパレスチナ相手に前半0点に抑えられるという決定力のなさ。更にパスが繋がらない、トラップが大きすぎる、PKを外すなど本当にうんざりする試合運びでした。