卓球 東京五輪振り返りとパリ五輪への展望
卓球の東京五輪におけるメダル数は以下の通りとなりました。
金メダル
・混合ダブルス(水谷、伊藤ペア)
銀メダル
・女子団体
銅メダル
・女子シングルス(伊藤美誠)
・男子団体
なんといっても混合ダブルスで中国ペアを破って金メダルというのがとても大きいですね。
ついに中国の壁を破ったということで歴史を作ったと同時に、未来に大きく繋がる金メダルとなりました。
ちなみに中国が卓球で金メダルを逃すのは2004年アテネ大会以来17年ぶりの出来事。
2008年北京、2012年ロンドン、2016リオは全種目で中国が制覇し、今年の東京も混合ダブルス以外は全て中国が制しているので、いかに中国の壁を越えて金メダルというのが世界的にも歴史的な快挙であったことがおわかり頂けるかと思います。
そして3年後のパリを考えると男子は水谷が引退し、張本がエースに、女子は伊藤美誠が引き続きエースになっていくでしょう。
その中で様々な面で鍵になっていくのは今大会女子のリザーブメンバーだった早田ひなになってくると思っています。
まず水谷の引退により混合ダブルスをリセットする必要が出てきます。
その場合、水谷、伊藤ペアの次に強い混合ダブルスのペアは張本と早田のペアでしょう。
右の張本、左の早田と右左のダブルスになりますし、実績としても2019年のワールドツアージャパンオープンでは準決勝で中国の樊振東、丁寧ペアを破って準優勝。
オーストリアオープンでは張本、早田のペアが水谷、伊藤ペアを破っていますので、水谷が引退して水谷、伊藤ペアが組めなくなっても、張本、早田のペアで引き続き金メダルを狙いに行ける種目になります。
さらに早田は伊藤美誠との女子ダブルスにも実績があります。
2018年グランドファイナルでは中国の陳幸同、孫穎莎ペアを破って金メダルを獲得。
2019年世界選手権決勝では今大会の東京五輪にも中国代表として出場した王曼c、孫穎莎ペア相手に接戦を演じて惜しくも銀メダル。
全日本選手権でも三連覇しており、間違いなく現時点で日本最強の女子ダブルスです。
団体戦で最初の1試合目となるダブルスを取れると一気に勢いに乗れるので、伊藤、早田ペアをトップバッターで出せるというのは対中国を考えても大きな武器になります。
女子団体は3年後の年齢なども考えると今回出場した伊藤、平野に早田を加えた3人というのが順当なメンバーになりそう。
ただ伊藤、早田ペアをダブルスで使うならもう一人はシングルス2点使いのエースという役割になってくるので、現在世界最強のカットマンとも言われる佐藤瞳などを入れた方が対中国では武器になるかもしれません。
他にも逆チキータ(ミユータ)を使いこなす加藤美優や2019年グランドファイナルの女子ダブルスで優勝した長ア美柚、木原美悠などもおり、3年後も充実したメンバーでオリンピックに臨めそうです。
男子団体については張本がエースになるのは間違いないと思いますが、水谷が引退し、丹羽孝希も年齢的にベテランの域に入ってきており、3年後についてもまだ目指すことは公言していません。
下の世代の成長に期待したいところですが、現状で楽しみなのは宇田幸矢と戸上隼輔の二人になってくるでしょうか。
宇田は世界ランキングでも今大会に出場した張本、丹羽、水谷に続く日本勢第4位。
2020年全日本選手権では張本を破って優勝しており、東京五輪のリザーブにも選ばれています。
戸上隼輔は世界ランキングこそ最高105位とまだまだながら、インターハイ連覇、全日本ジュニア優勝と年代別の大会でしっかりと成績を残し、2019年にはTリーグで水谷にも勝利しています。
また宇田と戸上は同じ明治大学に在学中でダブルスも組んでおり、コンビネーションも抜群。
もし宇田と戸上が国際大会でも通用するレベルになってくれば宇田と戸上をダブルスで使うことで安心して張本をエースのシングルス2点使いができるようになります。
このように卓球も下の世代が着実に育ってきており、今後も明るい未来が待っていそうです。
ロンドンでは卓球界史上初の五輪メダル、リオでは男子及び個人として初の五輪メダル、そして東京では初の五輪金メダルと毎大会着実に歴史を作ってきました。
その積み重ねのさらなる先をパリ五輪でも見せてくれるのではないでしょうか。
なお今回紹介した早田、佐藤、宇田、戸上については9/28から行われるアジア選手権のメンバーに選ばれています。
また今年の世界選手権の選考会がyoutubeのテレビ東京卓球チャンネルにて8/30の14:00から中継があります。
https://www.youtube.com/channel/UCVG4KpQRpA99jZk2hHZT9-Q
オリンピック以外でも競技を観るようになればますますオリンピックの時に面白くなると思いますので、興味がある方は是非観て頂ければと思います。
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